トランプ米大統領は10週間に及ぶ紛争の終結に向けた米国の提案に対するイランの最新の回答について「全く受け入れられない」との見解を示した。

トランプ氏は自身のSNSへの投稿で、「私はイランのいわゆる『代表団』からの回答を読んだばかりだ。気に入らない」と述べた。投稿を受けてドルは他の主要通貨に対して上昇幅を拡大し、原油先物価格も急伸した。

米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)が先に報じたところによると、イランは高濃縮ウランの備蓄の一部を第三国に移送することを提案したが、核施設の解体は拒否した。イランはこの報道内容を否定したと、同国の半国営タスニム通信は伝えた。

不安定な停戦を脅かす事案が続く中、和平提案に関する両国の最新のやり取りがホルムズ海峡再開への道筋となるかどうかは不透明だった。

WSJ紙がイランの回答に詳しい関係者を引用して報じたところによると、最新の提案ではイランが高濃縮ウランの一部を希釈し、残りを第三国に送る。一方で、協議が決裂した場合に移送されたウランが返還される保証を求め、施設の解体は排除した。

タスニム通信は、核物質の取り扱いに関するWSJ紙の報道は「事実ではない」とした。声明は、戦争の即時終結、凍結資産の解放、石油販売に対する米制裁の解除、オマーン湾における米国の封鎖終了、最終的には海峡のイランによる管理を望むイランの立場に焦点を当てた。国営イラン放送(IRIB)は、同国がトランプ氏の提案を降伏に等しいものとして拒否し、米国が戦争の損害を賠償する必要があると主張したと伝えた。

トランプ氏は、イランがホルムズ海峡の通航を認め、米政府が今後1カ月以内にイラン港湾への封鎖を解除し、その後に核協議を行うことを提案していた。

ニュージーランド銀行のストラテジスト、ジェイソン・ウォン氏は「トランプ氏がイランの最新の和平案を拒否したことで、週初の市場は『リスク回避』の動きとなり、先週見られた値動きの一部が反転している」と指摘。「この動きは取引序盤にかけて続く可能性がある」と予想した。

イスラエルのネタニヤフ首相も戦争は「終わっていない」と警告した。同氏は10日に放映された米CBSのインタビューで、イランの核開発能力の解体と高濃縮ウラン備蓄除去に向け、対応はなお必要だと述べた。

停戦は4月8日以降続いているものの、5月10日にはペルシャ湾内のカタール沖で、貨物船1隻がドローン(無人機)攻撃を受けて火災が発生した。アラブ首長国連邦(UAE)とクウェートは10日、敵対的なドローンを迎撃したと発表した。

トランプ氏は紛争が続く中で今週、中国を訪問する予定で、側近とともに戦争は終結したとの見方をこれまでに繰り返し示してきた。一方で、イランが和平合意に応じない場合には攻撃拡大も辞さない構えを見せていた。

同氏は、イランの核兵器保有は許されないと繰り返し述べており、先週の時点でもイランが核開発の野心を断念することにすでに同意しているとの認識を示していた。

トランプ氏はSNSへの投稿で、イランの回答に満足できない場合の具体的な対応については言及しなかった。11月の中間選挙を控え、米国内のガソリン価格引き下げを求める政治的圧力が高まる中、トランプ氏はここ数週間、戦争に区切りをつけたい姿勢を見せていた。

2月28日に米国とイスラエルがイランを攻撃して始まったこの戦争では中東全域で数千人が死亡し、石油・ガス市場を混乱させている。燃料価格の急騰で世界各国の政府と消費者は圧迫されている。

世界最大の石油会社サウジアラムコは10日、ホルムズ海峡が直ちに再開されたとしても、市場が正常化するには数カ月を要すると警告した。同社のアミン・ナセル最高経営責任者(CEO)は「今後数週間を超えて貿易や輸送の制約が続く場合、供給混乱はさらに長期化し、市場が正常化するのは2027年になると見込んでいる」と述べた。

イランはまた、同国の主要な原油輸出拠点であるカーグ島周辺で油膜のようなものが確認されたとの一部報道を否定した。国営シャナ通信によると、石油ターミナル当局者はインフラ設備や貯蔵タンク、パイプライン、船舶で漏えいは起きていないと述べた。

原題:Trump Rejects New Iran Peace Offer as ‘Totally Unacceptable’ (3)、Iran Makes New Offer on Uranium in Response to US, WSJ Says (1)、Oil Jumps After Trump Says Iran’s Peace Offer ‘Unacceptable’(抜粋)

(原油相場の反応やカーグ島周辺に関するイラン側の説明などを追加して更新します)

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