イラン情勢に進展なく、株価は反落
5月7日の米国株式市場は、米国とイランの戦闘終結に向けた目立った進展がなく、株価が反落した。イラン政府高官が米国の停戦案に否定的な姿勢を示しているという。もっとも、米国もイランも戦闘終結に向けた調整を行っていることは事実であり、イラン情勢を巡って悲観論が強まる可能性は低い。
市場の注目は、徐々に米経済の強さにシフトしていくだろう。イラン情勢が悪化する間、米経済の強さにも不透明感が生じ、消去法的にハイテク関連株や半導体関連株に資金が集中した。ハイテク関連の実力を見極める必要があることは事実だが、AIが経済に与える影響について結論がすぐに得られることはないだろう。したがって、短期的にはマネーフローを変化させる根本的な要因だった米経済の強さの評価が市場の動き(お金の動き)を左右することになるだろう。
食品やファストフードのCEOは弱気だが、米経済は今回も見極めが必要
肝心の米経済については、やや評価が難しい。例えば、Bloombergは「米個人消費に危険信号、CEOが相次ぎ警告『家計の余力が底つく』」との記事を配信し、個人消費の弱さを指摘した。食品大手、家電大手、ファストフード、フィットネスクラブなどのCEOが消費マインドの弱さを相次いで指摘したという。もっとも、K字型経済において一般的な家計の消費マインドが落ち込む動きは今に始まったことではない。むろん、原油高が家計を一段と圧迫している面はあるものの、各種消費マインドの指標は過去数年にかけて低迷したままである。また、労働市場が弱くなっているとはいえ、失業率は依然として低水準である。消費マインドが弱い労働者層も、職を失って路頭に迷っている人はかなり少数派だろう。また、消費マインドが低迷する中で米経済が高成長を続けてきた背景には、インフレよりも資産価格高騰の恩恵を受けている資産家層や高所得層の消費が旺盛だったことがある。やや偏りがあるものの、足元でも株価が堅調に推移していることを考えると、米経済が再び資産家層の消費に支えられるというパスも想定できる。
一つ言えることがあるとすれば、消費者物価指数はあまり強い動きにはならないだろうということである。消費者物価指数の調査対象は一般的な品目であり、資産家層によって上方に引かれるというよりは、労働者層によって下方に引かれる可能性の方が高いだろう(企業が価格転嫁に躊躇する)。資産家層の需要によって米経済が堅調に推移したとしても、インフレ圧力は限定的となり、FRBが利上げに動く可能性は低いと、筆者は予想している。
米経済を見極める局面であり、債券市場は小動き
5月7日の債券市場は、FRBの利下げ観測が後退し、金利が上昇した。長期金利は前日差+3.7bp、2年金利は同+4.6bpだった。この日に金利上昇要因として注目されたのは、新規失業保険申請件数が市場予想よりもやや少なかったことだった。少なくとも、失業率が大きく上昇するような状況ではない。株式市場が大きく動いている一方で、債券市場はレンジ推移が続いている。