(ブルームバーグ):トランプ米大統領が打ち出したホルムズ海峡の通航支援計画は、海運業界の幹部らを困惑させている。同海峡での攻撃は続き、船舶の航行はほぼ停止したままだ。
トランプ氏は3日、「プロジェクト・フリーダム」と称する構想の下、ペルシャ湾で足止めされている船舶を「安全に外へ導き、自由かつ円滑に業務を遂行できるようにする」と述べた。ただし、具体的な詳細は示さなかった。
共同海上情報センター(JMIC)によると、米国はホルムズ海峡通航支援のため「強化された安全区域」を設定し、オマーン領海を通過するルートの検討を船舶に助言した。また、「十分に調査・除去されていない機雷の存在により」重大な危険があるとする米国の通知にも言及した。JMICは同地域の安全保障上の脅威を監視・分析する多国籍組織だ。
4日には同海域で緊張が一段と高まった。アラブ首長国連邦(UAE)のアブダビ国営石油会社の部門は、積み荷を載せていなかった同社のタンカー「バラカ」がオマーン沖でイランのドローン2機の標的になったと明らかにした。英国海事貿易機関(UKMTO)によると、3日にはばら積み船が小型艇による攻撃を受けたとの報告もあった。
ホルムズ海峡での緊張の高まりを受け、北海ブレント原油先物は一時5%余り上昇し、114ドルを上回った。その後、米海軍艦艇がミサイル攻撃を受けたとするイランメディアの報道を米国が否定したことで、上げ幅の一部を縮小した。
イラン議会の国家安全保障委員会のトップは、ホルムズ海峡への米国の関与は4月以降続いている停戦合意に違反するとの認識を示した。準国営のタスニム通信は4日、政府が海峡の「管理区域を再定義」し、イランが船舶の通航を規制する範囲を事実上拡大したと報じた。
一方、米中央軍は、米船籍の商船2隻が海峡の通過に成功したと発表。商船の通航回復に向けて軍が積極的に取り組んでいると付け加えた。ただし、船舶の特定や通過時期は明らかにしなかった。
もっとも、ブルームバーグの取材に応じた複数の船主や運航管理会社は、通航に踏み切るにはより具体的な情報が必要だと話している。慎重な扱いが求められる問題だとして匿名を条件に語った。また、機雷やイランによる攻撃のリスクなど、主要な懸念に対する安全確保が求められるとも述べた。
一方で、世界最大の国際海運団体であるバルチック国際海運協議会(BIMCO)の安全・保安責任者、ヤコブ・ラーセン氏は、トランプ氏の計画について緊張のエスカレーションを招くリスクがあると指摘した。
「イラン軍との調整なしにホルムズ海峡の通過を試みる船舶に対する同国の脅しを踏まえると、プロジェクト・フリーダムが実行されれば、敵対行為が再び発生するリスクがある」と述べた。
4日早朝には、パナマ船籍のばら積み船が海峡に接近する中でUターンした。同海域で数日間待機していた中国系とみられる2隻の船舶も西方へ向かった。こうした動きはホルムズ海峡を巡る情勢の不透明さを物語っている。
この直前には、船舶が無線で当該海域から離れるよう指示されたと、UKMTOが警告で明らかにしていた。ただ、誰がその無線を発したかは示されていない。
原題:US Hormuz Plan Leaves Shipowners Guessing as Attacks Persist (3)(抜粋)
--取材協力:Haslinda Amin.もっと読むにはこちら bloomberg.com/jp
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