米メタ・プラットフォームズのマーク・ザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)が4月29日、投資家向け説明会で人工知能(AI)にさらに資金を投じると表明したが、それをどう回収するのかについて多くを語らず、信頼感を高めたとは言い難かった。

その日の決算発表を受け、株価は30日に6カ月ぶりの大幅下落となった。ただ、これはメタや、われわれが取材対象とする他のテクノロジー・ソーシャルメディア企業にとって、ここ数カ月の際立って暗い局面における最も新たな頭痛の種に過ぎない。

メタとスナップは、従業員の大きな割合に影響するレイオフを発表した。グーグルの親会社アルファベットとメタは、ソーシャルメディア依存を巡る初の裁判で敗訴した。背後には数千件の訴訟が控えている。

この2社に「TikTok」とスナップを加えた4社は来月、オークランドで同様の大型裁判に直面する。多くの上級幹部が証言を求められている。

インドネシアは、グーグル傘下のユーチューブや字節跳動(バイトダンス)のTikTok、メタの一連のサービスである「インスタグラム」「フェイスブック」「スレッズ」などのプラットフォームに対し、16歳未満のユーザーを受け入れることを禁じた東南アジアで初めての国となった。

先週だけでも欧州は未成年ユーザーに関連した子どもの安全を巡る調査を強化し、メタに高額な制裁金が科される可能性が出ている。

さらに米上院の有力委員会は、メタなどのAI企業に対し、未成年者によるチャットボット利用を停止させることを義務付ける法案を支持した。イラン戦争もメタの成長を妨げ、1ー3月(第1四半期)広告事業の一部にも重しとなった。

ソーシャルメディア業界にとって、短期間に極めて多くの混乱が起きたことになる。ザッカーバーグ氏は4月29日の投資家向け電話会議で、最も厄介な問題の一部を避けようとした。

例えば、子どもに関連する数多くの問題については何も語らなかった。スーザン・リー最高財務責任者(CFO)は用意した発言で、「若年層関連の問題を巡る監視は続いており、米国では今年さらに複数の裁判が予定されている。最終的に重大な損失につながる可能性がある」と述べるにとどめた。

代わりにザッカーバーグ氏は、メタのAI投資と、AIを原動力とする未来における同社の主導的立場について時間を割いて話した。その巨額支出が報われるのか疑問を抱いた投資家もいた。

ウォール街は、ザッカーバーグ氏による1450億ドル(約23兆円)規模のAIギャンブルと、その余地をつくるため今月8000人を削減する動きに納得しなかった。

同氏や他のメタ経営陣は、AIがSNSのリコメンデーション機能を改良してユーザーのエンゲージメントを維持し、広告モデルも改善され、より優れた広告販売につながっていると強調してきた。しかしその説明は、投資家にとってメタの一部競合が語るのと同程度に先見性のあるものには聞こえない。

バンク・オブ・アメリカ(BofA)セキュリティーズの調査アナリスト、ジャスティン・ポスト、ニティン・バンサル両氏は電話会議後、メタ株は「AIリターンについてなお『結果を示せ』という銘柄だ」と指摘した。「今回のAI投資サイクルは予想以上に大きいことが明らかになりつつある。クラウド事業者と比べてリターンが不透明」とみている。

AIに多くの注目が集まる一方で、一時解雇を控えた従業員の士気から、子どもの安全を巡って高まりつつある嵐に至るまで、メタが直面する他の重要課題は表に出にくい。

SNS企業はいずれも、若者にとって自社のサービスが安全かどうかを巡り世界的な反発に直面しており、こうした主張は今後何年にもわたって問題を生み続ける可能性がある。

スナップが5月6日に決算を発表する際には、同様の重要テーマが見過ごされるのか注目される。前回、投資家がエヴァン・スピーゲルCEOに10代のソーシャルメディア禁止について質問した際、スピーゲル氏はそれが最終損益に与える影響は小さいとして受け流し、次に進んだ。

ザッカーバーグ氏は先週、そうする必要はなかった。誰も質問しなかったからだ。

(この記事は、テクノロジー業界のビジネスを世界中のブルームバーグ記者が掘り下げて伝えるニュースレター「Tech In Depth」からの抜粋です)

原題:Meta’s AI Spending Overshadows Risks Ahead: Tech In Depth(抜粋)

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