FOMC後に生じた利上げ観測は行き過ぎだった
4月30日の債券市場は、原油価格が下落したことや、前日のFOMC後の利上げ観測が行き過ぎという見方が生じたことから、金利が低下した。長期金利は前日差▲5.9bp、2年金利は同▲7.8bpだった。この日は、イラン情勢に関する目立った進展はなかったものの、原油価格が下落した。このところ、イラン情勢の悪化が長期化するという見方から原油価格が上昇していたが、高値警戒感が強くなってきた模様である。
前日のFOMCでは、3人の参加者が声明文で緩和方向の姿勢を示す文言を残すことに反対したことがタカ派的であると評価され、FF金利先物市場では年内0.11回の利上げが織り込まれた。もっとも、パウエル議長が説明したように、FRBのスタンスはニュートラルである。この日は同0.11回の利下げ織り込みとなり、利上げ観測は強まらなかった。
為替介入は円キャリーを警戒したものとみられるが、円安リスクは続く
4月30日夜、ドル円が160円台後半から155円台半ばまで下落した。各種報道によると、為替介入が実施された模様である。GWに円安が進んでしまうリスクを回避するために為替介入が実施されるという可能性は指摘されていたが、筆者は可能性が低いとみていたため、予想を外してしまった。1月下旬に日米協調レートチェックが行われた際よりもドル円は上昇していたことは事実だが、当時は衆院選を前に円安批判が選挙結果に影響を与えることを防ぐという狙いがあったと考えていたからである。
今回、為替介入が実施されたとすれば、その理由を考える必要がある。高市政権の支持率は引き続き高水準であることから、おそらく政治的に円安は困るというシグナルが首相官邸から出たわけではないだろう。財務省の判断として、円安が加速するリスクに対応する必要が高いと判断された可能性が高い。言うまでもなく、原油高の継続が貿易赤字による実需の円売りという円安要因が続いていることに加えて、日銀が利上げを様子見していることも円安要因となっている。もっとも、これらはイラン情勢が悪化した3月から続いていることであり、足元で円安のドライバーとなっているとみられるのは、リスクオンによる円キャリートレードの再構築だろう。米商品先物取引委員会(CFTC)が集計するIMM通貨先物ポジションによると、2月、3月はレバレッジド・ファンドが円ショートポジションを減少させていたが、4月に入ってからはショートが膨らんでいる。おそらく、米国とイランの停戦合意後のリスクオンが背景とみられ、このままリスクオンが続けば、徐々に円安が加速するという分析があったのだろう。
今回の為替介入によって、一旦はこういった動きを封じることができるだろう。しかし、リスクオンが続けば円キャリートレードは再び徐々に積み上がっていくことが予想される。実需の動向(貿易赤字の動向)や、日銀の利上げという動きがなければ、円安圧力が続く公算である。
筆者は、FRBが9月に利下げを実施すると予想しているため、年後半にはドル安・円高圧力が強まるとみているが、それまでは円安方向に警戒が必要である。