(ブルームバーグ):22日の米株式相場は反発し、S&P500種株価指数は最高値を更新した。堅調な企業決算が好感されたほか、トランプ米大統領が前日引け後にイランとの停戦を延長したことを受けて、リスクテーク意欲が復活した。一方、紛争解決に向けた試みは難航しており、原油価格は上昇。円は対ドルで下落し、1ドル=159円台後半を付けた。
フィラデルフィア半導体株指数(SOX)は16営業日続伸し、過去最長の連騰を記録した。人工知能(AI)関連需要に支えられた同セクターへの成長期待が背景にある。ボーイングも高い。1-3月(第1四半期)の納入機数が2019年後で最多となった。引け後に決算を発表したテスラは、通常取引終了後の時間外に上昇。利益が市場予想を上回った。
インタラクティブ・ブローカーズのシニアエコノミスト、ホセ・トーレス氏は「株式相場は今月初の続落となった後、持ち直している。トランプ大統領による停戦延長と堅調な決算が株価を押し上げている」と述べた。
米国とイランは新たな和平協議が実現せず、ホルムズ海峡の支配を巡る対立を強めている。停戦期間が延長されるなか、エネルギー輸送の要衝である同海峡の封鎖を材料にした駆け引きが続いている。
トランプ大統領は21日、イランとの停戦を無期限に延長すると表明。イランが新たな提案を提出し、「協議が何らかの形で決着する」まで停戦を延長するとした。一方、イラン側は当面、協議に参加する予定はないとしている。
ホルムズ海峡では、武装したイランの小型艇が2隻の商業船に発砲した。一方で、満載状態のイランの超大型原油タンカー(VLCC)2隻が米国による封鎖の突破を試みるなど、エネルギー海上輸送の要衝である同海峡をイランが依然として掌握していることを改めて示した。
スレートストーン・ウェルスのケニー・ポルカリ氏は現在の状況について、「落ち着きと混乱が同居している」と説明。「イラン紛争は続いているが、投資家はそれを受け流し、本当に重要なことに目を向け始めているという印象だ」とし、「こうした展開はこれまでも繰り返されてきた。ニュースが出て、相場が反応し、ボラティリティーが高まるが、その後は落ち着きを取り戻し、ファンダメンタルズに再び焦点が絞られる」と述べた。
地政学リスクはくすぶるものの、力強い企業収益や人工知能(AI)トレードの復活、底堅い米経済が株式相場を押し上げている。ブルームバーグがまとめたデータによれば、これまでに1-3月(第1四半期)決算を発表したS&P500種構成企業のうち、約81%の業績がアナリスト予想を上回った。
RGAインベストメンツのリック・ガードナー氏は、イラン紛争を巡る不確実性や威嚇的な動きは依然としてあるものの、市場はその先を見据えていると指摘。「ネガティブな報道や、最後通告、交渉期限の提示といった動きは続くかもしれないが、株式市場がそれらに逐一反応するとは限らない。市場は既に最悪の事態を織り込み済みだ」と話した。

外為
外国為替市場では、ドルが下げを埋めた。対円では上げに転じ、一時1ドル=159円57銭まで買われた。
TSロンバードのダニエル・フォン・アーレン氏は、対円でのドル・ショートがリスクリターンの観点で魅力的だと指摘する。円ショートが既に積み上がっていることや、日本銀行が今月のタカ派的な据え置きを経て、利上げ路線にあるとの見方が背景にある。
「日本のマクロ環境改善や、米・イラン紛争の最終局面(それに伴うエネルギー価格の低下)、第2・第3四半期における米経済成長の軟化リスク、割安なバリュエーション、足元の円金利の上昇モメンタム、ショートポジションの大幅な積み上がりといった要因は、いずれも対円でのドル・ショートに魅力的なリスクリターンがあることを示唆している」とリポートに記した。
さらに、より拡張的な財政政策が日本経済を一段と押し上げており、日銀の「政策正常化が順調に進む」ことを示唆していると続けた。
CIBCキャピタル・マーケッツのノア・バッファム、サラ・イン両氏は「エネルギー価格が今後数カ月に正常化するというのが当社の基本シナリオだ。トランプ氏が中間選挙を前に戦争からの出口を模索し、イランはホルムズ海峡に依存する同盟国(中国やインド)から圧力を受けるためだ」と指摘。
その上で「米国と他の先進国との金利差拡大が織り込まれる中、ドル売りが今後数カ月にわたって続く」と予想した。

国債
米国債は下落(利回りは上昇)。朝方は買われていたが、下げに転じた。
キャピタル・ドットコムのシニア市場アナリスト、ダニエラ・ハソーン氏は「センチメントは改善しつつある一方で、地政学リスクがくすぶり続けており、市場は微妙なかじを続けている」と指摘。
「停戦を巡る報道やホルムズ海峡の断続的な再開は当面の供給不安の緩和に寄与しているものの、物流の混乱はなお続いている。エネルギー市場には引き続き一定のリスクプレミアムが織り込まれている」と述べた。
バンク・オブ・ナッソー1982のチーフエコノミスト、ウィン・シン氏は「市場がおおむね織り込んでいる最善のシナリオは、イスラマバードで協議が再開されることだ」と指摘。「ただし、ホルムズ海峡が全面再開されるまで、北海ブレント原油が1バレル=100ドル超で推移するリスクは続く。それは世界経済にとってマイナスだ」と述べた。
原油
原油相場は3日続伸。米国とイランによる紛争解決への動きは停滞しており、両国は共にホルムズ海峡の封鎖を通じて主導権を握ろうとしている。
北海ブレント先物は1バレル=101ドル超と、約2週間ぶりの高値で引けた。
イラン準国営タスニム通信は、現時点でイランが24日に米国と協議を行う計画はないと報じた。それより前、ニューヨーク・ポスト紙はトランプ米大統領とパキスタン側関係者の話を基に、第2回協議が24日にも実施される可能性があると伝えていた。
米・イラン両政府は、イランの核開発能力やイスラエルによるレバノン攻撃など、いくつかの主要争点を巡って膠着(こうちゃく)状態に陥っている。
英海事貿易機関(UKMTO)によると、イランの砲艇は22日、ホルムズ海峡付近で貨物船とコンテナ船に発砲した。さらに3隻目の船舶が攻撃を受けたと、米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)が伝えた。
米エネルギー情報局(EIA)がこの日公表した米在庫データでは、ガソリンや留出油など主要な石油製品が軒並み減少。中東からの供給に混乱が生じている中、米国がそれを補う存在として注目されている。EIAによれば、輸出需要の高まりを受けて、原油と石油製品の総輸出は過去最高を更新した。
トランプ氏は21日、イランとの停戦を無期限で延長すると表明する一方、イラン港湾の封鎖は協議が結論に至るまで継続すると述べた。これは原油相場にとって強材料だ。
戦略国際問題研究所(CSIS)の中東プログラム上級研究員、ウィル・トッドマン氏はトランプ氏が無期限停戦を表明したことについて、「紛争の現段階においては、軍事的衝突より経済的圧力の方が効果的だと考えていることを示す」と分析。「米国による封鎖がイラン経済に与える打撃が強まっており、トランプ氏はイラン指導部が先に譲歩することを望んでいる」と述べた。
タスニム通信によると、イランは米海軍が船舶の拿捕(だほ)を続ける限り海峡の通航を再開させず、必要であれば武力で封鎖を打破するとしている。米国は21日、制裁対象の石油タンカーを臨検したと明らかにした。
UBSグループの商品アナリスト、ジョバンニ・スタウノボ氏は「海峡通過の流れが制限されている限り、市場はタイトな状態が続き、価格も下支えされる」と述べた。
ニューヨーク商業取引所(NYMEX)のウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)先物6月限は、前日比3.29ドル(3.7%)高の1バレル=92.96ドルで終了。北海ブレント先物6月限は3.43ドル(3.5%)上昇して101.91ドルで引けた。
金
ニューヨーク金相場は3営業日ぶりに上昇。トランプ米大統領がイランとの停戦延長を表明し、次回の和平協議を準備する時間を確保したことが買い安心感につながった。
金スポット相場は米国時間帯に入る前に一時、前日比1.1%上昇する場面があった。米時間帯に入ってからは下げ基調で、上昇分の多くを失った。
DWSグループの商品責任者兼ポートフォリオマネジャーのダーウェイ・クン氏は、足元の金へのポジショニングについて、以前に比べて大幅に整理されていると指摘。「2月末まではレバレッジを大きく効かせた取引を含め、投機的な動きがかなりあった」と述べた。
現在の市場はファンダメンタルズ主導の様相を強めており、そうした点から「現時点で金に魅力を感じている」という。
イランの戦争が始まった初期に金相場が下落した後、金の保有を増やし、現在はオーバーウエートにしていると、同氏は説明した。
一方で「非常に戦術的に運用している」とし、「足元ではオーバーウエートだが、そうでなくなる可能性も十分にある」と述べた。
スポット価格はニューヨーク時間午後3時9分現在、前日比20.76ドル(0.4%)高の1オンス=4740.80ドル。ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金先物6月限は33.40ドル(0.7%)上昇し、4753.00ドルで引けた。
原題:S&P 500 Climbs to All-Time Highs; Tesla Jumps Late: Markets Wrap(抜粋)
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