ウォール街の中で、ブルー・アウル・キャピタルほど結果を出す必要に迫られた企業はなかったかもしれない。

プライベートクレジットへの圧力が強まったわずか数週間で、同社は投資家から厳しい視線を浴び、株価は50%近く下落、顧客は前例のない規模で資金引き揚げを求め、アクティビストや空売り勢も動き始めていた。

そこにモルガン・スタンレーから提案が持ち込まれた。

ニューヨークのブルー・アウル本社

関係者らによると、モルガン・スタンレーのバンカーは社債発行の需要を探り、取引成立の余地があると判断した。ブルー・アウル側としては、資金調達だけでなく、資本市場へのアクセスと投資適格級格付けの維持、著名な機関投資家との結びつきを示す狙いがあった。

ただし成立にはプレミアム(上乗せ利回り)の提示が必要だった。経営陣は信頼回復のためにこれを受け入れ、その戦略はこれまでのところ奏功している。

先週の発行以降、ブルー・アウル株は17%値上がりし、債券を発行した上場ビジネス開発会社(BDC)であるブルー・アウル・キャピタル・コープ(OBDC)は5.3%上昇した。ブルームバーグのプライシングによれば、2028年償還債のスプレッドも約25bp縮小した。この勢いは、パシフィック・インベストメント・マネジメント(PIMCO)が4億ドル(約640億円)全額を購入したことで弾みが付いた。

サンジャック・アルファのアンドルー・ウェルズ氏は「かなり堅実な取引だ」と評価し、「ピムコが引き受けるのは大きなプラスだ」と述べた。「彼らは市場価格の見極めに長(た)けており、取引が成立したこと自体が良い兆候だ」と話した。

ブルー・アウルとモルガン・スタンレー、ピムコの担当者はいずれも、この記事に関するコメントを控えた。

動画:プライベートクレジット市場についての解説

関係者によると、モルガン・スタンレーはクレジット部門や資本市場部門、仕組み債など複数チームのバンカーを動員し、BDC債市場がほぼ停止する中でいかに投資家の需要を喚起できるかを探り、関心の回復に成功した。2年半に設定された償還期間が、将来に低コストでの借り換え余地を与える点も評価されたと、別の関係者は指摘した。

モルガン・スタンレーは通常のシンジケーションを想定し、関心を示す投資家の候補リストを提示したが、その中でひときわ目立ったのがピムコだった。

強力なシグナル

ブルー・アウルは昨年、メタ・プラットフォームズに関連する大型データセンター案件の資金調達で、ピムコと提携していた。

ピムコは直ちにブルー・アウルに直接接触し、発行全額を引き受ける可能性を打診した。ブルー・アウルはこれが市場への強力なシグナルになると判断した。

ブルー・アウルはこの資金を今後の償還財源に充当する予定だ。約6週間ぶりのプライベート・クレジット・ファンドによる起債は、地政学リスクの緩和や銀行決算の追い風もあり、バリュエーションや流動性、透明性への懸念を抱えるプライベートクレジット業界への信認と受け止められた。翌日にはゴールドマン・サックス・グループのファンドも類似の起債を実施し、市場再開の兆しが示された。

もっともクレジット・サイツのザカリー・グリフィス氏は「プライベートクレジットに対する懸念が完全に解消されたことを意味するとは考えていない」と電子メールで述べた。「人工知能(AI)による影響を受けやすい業種へのエクスポージャーが大きいことから、今後のリターンは圧迫される可能性が高い」と説明した。

それでもゴールドマン・サックス・プライベート・クレジット・コープは、約30億ドルの需要を集め、当初目標の5億ドルを上回る7億5000万ドルを調達した。バンカーらは今後数週間で他のBDCも追随するとみている。

原題:As Blue Owl’s Strains Worsened, Its Bankers Pitched a Long Shot(抜粋)

--取材協力:Caleb Mutua、David Scheer、Natalie Harrison.

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