はじめに~高まる若年層の離職抑制の重要性

新卒3年以内の離職率は3割を超える水準で推移

2026年度が始まり、新卒を迎えた職場も多いと思われる。総務省によれば、2026年1月の新成人人口は109万人であり、足元ではほぼ横ばいであるものの、2020年時点では122万人であったことから、長い目で見れば減少傾向にある。

また、厚生労働省によれば、新規高卒就職者の3年以内離職率は37.9%、新規大学卒就職者では33.8%となっており、新卒3年以内の離職者は30%を超えている。

今後の新卒採用の母集団は大きく増える局面には入りにくいとみられることから、企業にとっては「採ること」だけでなく、採用した若手が早い段階で離職しないようにすることの重要性が、これまで以上に高まっていると思われる。

離職理由は処遇や労働条件だけなのか

若年層の離職の要因を考えるとき、まず思い浮かぶのは、給与や労働時間における期待と実態のミスマッチである。

厚生労働省によればの転職入職者が前職を辞めた理由について20~24歳でみると、「給料等収入が少なかった」(12.5%)、「労働時間、休日等の労働条件が悪かった」(11.3%)が上位に挙がっている。

その一方で、「その他の個人的理由」も28.0%と高く、若年層の離職理由は、処遇や労働条件だけでは十分に捉えきれないこともうかがえる。

ある研究では、若手が職場に定着するかは、仕事に意味を感じられるか、会社や上司の言動に一貫性があるか、自分が職場の一員として大切にされていると感じられるか、といった点も関わりやすいとされる。

従業員ウェルビーイングとは何か~若年層にとって仕事の経験全体の質に関わる課題

こうした点は、企業で働く人のウェルビーイング(従業員ウェルビーイング)に関する論点とも重なる。

従業員ウェルビーイングとは、「働く人が、無理なく、安心して、意味を感じながら働けている状態」のことを指す。

関連する研究では、単に「働きやすいかどうか」と言うのみならず、その企業で働く人どうしの関係、自分が企業に支えられているという感覚、その企業や働く自分の将来への見通しまでを含めた、仕事経験全体の質や「(従業員自身にとって)働くことの意味」にも関わる命題であるとされる。