ウイスキー「ジャックダニエル」の製造元である米ブラウン・フォーマンの創業家一族は、国内同業他社サゼラックによる買収提案よりも、フランスの酒造大手ペルノ・リカールとの統合案を支持している。事情に詳しい関係者が明らかにした。

ブラウン・フォーマンは、統合後の企業が地域面や酒類の種類で分散が進む点から、ペルノ・リカールがより適した統合相手だとみているという。非公開情報であることを理由に関係者は匿名で述べた。ペルノ・リカールとの統合案では、一族の持ち分が拡大し、経営への影響力も強まる見通しだ。

協議の一環として、ブラウン・フォーマンとペルノ・リカールは、統合後の拠点として米ケンタッキー州ルイビルを重要地域として維持することを検討している。ただ、本社とするのか、主要拠点にとどめるのかは不明。関係者によると、検討されている取引は株式80%、現金20%で構成される。

協議は継続中で、時価総額約134億ドル(約2兆1300億円)のブラウン・フォーマンの売却に至る保証はないと関係者は述べた。

ニューヨーク・タイムズ紙は17日、サゼラックがブラウン・フォーマンに対し、全額現金による150億ドルでの買収提案を出す計画だと報じた。アナリストの間では、この取引の妥当性に疑問の声が上がっており、両社の事業重複から重大な独占禁止法上の懸念が生じる可能性があると指摘されている。

サゼラック、ブラウン・フォーマン、ペルノ・リカールはいずれもコメントを差し控えた。

Photographer: Scott Olson/Getty Images

ブラウン・フォーマンは、150年余りにわたり一族経営を続けてきたが、他の蒸留酒メーカーと同様、特に若年層を中心に消費量の急減に直面している。

ブルームバーグ・インテリジェンスによると、米国の蒸留酒市場は低迷しており、レストランやバー以外での販売は過去3年間、四半期ベースの平均成長率が約1%にとどまっている。ブラウン・フォーマン株は低迷が続き、過去5年で60%下落した。

ペルノ・リカールとブラウン・フォーマンの提携が実現すれば、米国産ウイスキーで主導的な地位を築く企業が誕生し、両社の世界展開も拡大する見通しだ。

特にブラウン・フォーマンにとっては、ペルノの広範な流通網を活用することで、ウイスキー需要が拡大する中国やインドで「ジャックダニエル」の販路を広げやすくなる。

サゼラックは事業の中心が米国に偏り、ブランド構成もウイスキーに軸を置いているため、ブラウン・フォーマンの製品との重複が大きい。

ブラウン家はブラウン・フォーマンの議決権の約3分の2を握るが、苦境にある蒸留酒業界への関与を減らしたい他の株主は、サゼラックによる全額現金の買収案を支持する可能性がある。

原題:Jack Daniel’s Owner Is Said to Favor Pernod Ricard Over Sazerac(抜粋)

もっと読むにはこちら bloomberg.com/jp

©2026 Bloomberg L.P.