17日の日本市場は円が対ドルで159円台半ばに小幅下落。原油価格の高止まりや日本銀行の利上げ観測の後退が重しとなった。債券は中長期債を中心に下落(利回りは上昇)。株式は短期的な過熱感から4日ぶりに反落した。

トランプ米大統領は16日、イランとの合意に楽観的な見方を示したほか、イスラエルとレバノンの10日間の停戦合意を明らかにした。一方、ペルシャ湾岸のアラブ諸国および欧州の一部指導者は、米国とイランの和平合意の成立に約6カ月を要するとの認識を示す。

市場では米・イランの協議進展への期待が高まっているが、ホルムズ海峡の事実上の封鎖は続いており、米原油先物は1バレル=93ドル前後と高止まりしている。エネルギー供給の制約が景気や企業業績、金融政策に与える影響を見極める展開が続く。

三菱UFJ信託銀行ニューヨーク支店資金証券室のファーストバイスプレジデント、小野寺孝文氏は、ホルムズ海峡の完全な通航再開に至らない状況で「ドルがじり高になっている」と語る。一方で、160円が近づくと当局の介入への警戒感がドル・円の上値を抑えるとし、158円台前半から159円台後半のレンジが続くとの見方を示した。

米ワシントンを訪問中の日銀の植田和男総裁は現地時間16日夜(日本時間17日朝)、金融政策運営について、日銀の経済・物価見通し実現の確度やリスクを点検して政策判断する考えを示した。20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議終了後に記者会見した。

東海東京インテリジェンス・ラボの柴田秀樹金利・為替シニアストラテジストは、植田総裁の会見に対して「為替、債券市場の反応は薄い」と指摘。スワップ市場が織り込む今月の利上げ確率は20%割れと「利上げなしがコンセンサス」になっており、会見後も「少なくとも円を買う流れにはならない」と話した。

為替

円は対ドルで159円台半ばにじり安。対ユーロでは一時187円95銭を付け、1999年のユーロ導入後の最安値を更新した。

東海東京ラボの柴田氏は、原油高により日本の貿易赤字は6月頃から拡大が見込まれるため、中東情勢が改善しリスク志向が強まっても市場は円売りで反応する可能性が高いと言う。

植田総裁の発言について、オーストラリア・ニュージーランド銀行外国為替・コモディティ営業部の町田広之ディレクターは、インフレよりも景気下振れを警戒している印象で、3月会合時と比べて利上げに対する「トーンは弱い」と指摘。一方で、中立に受け止められるように配慮もしており、発言を受けてドル・円が一方向に上昇する展開にはならないと話した。

片山さつき財務相はG20後の会見で、中東情勢の緊迫化を受けて原油や金融市場で大きな変動が見られるとし、極めて高い緊張感を持って市場動向を注視していると語った。

債券

債券は米長期金利の上昇を受けて中長期債を中心に下落。一方、需給改善を背景に30年債と40年債は上昇した。

東海東京証券の佐野一彦チーフ債券ストラテジストは「中東情勢にらみで新たなポジションを構築する市場参加者は少ない」と指摘する。

超長期債について、東京海上アセットマネジメント債券運用部の海老原慎司チーフ債券ストラテジスト兼グローバル金利運用グループリーダーは「需給が良好だ」と語る。来週も「国債発行が流動性供給入札しかない一方で日銀の国債買い入れがあるほか、株価堅調を受けた年金勢のリバランスの債券買いも期待できる」とした。

国債利回り(午後3時時点)

株式

株式は反落。日経平均株価の急速な上昇と前日の最高値更新による短期的な過熱感が重しとなり、金融や商社、機械などのほか、人工知能(AI)関連で売りが膨らんだ。

東洋証券の大塚竜太ストラテジストは、年金基金など国内機関投資家による利益確定売りが出ていそうだと指摘。半面、「前日までの大幅高を踏まえると下げは限定的にとどまっており、買い意欲は強いようだ」とも話した。

野村証券の北岡智哉チーフ・エクイティ・ストラテジストは前日までの株高をけん引したAI関連株について、今月下旬から本格化する決算の期待値は高まっており、「決算発表を受けて上昇する展開は期待しにくい」とみていた。

この記事は一部にブルームバーグ・オートメーションを利用しています。

--取材協力:日向貴彦.

もっと読むにはこちら bloomberg.com/jp

©2026 Bloomberg L.P.