(ブルームバーグ):日本企業の社債発行額が2026年度に過去最高を更新する見通しだ。約30年に及んだデフレからの脱却が進み、合併・買収(M&A)を背景とした企業の資金需要が拡大している。
米国とイランが和平合意に至らず、中東での戦争は7週目に入った。ただ、これまでのところ日本企業の資金ニーズに影響はなく、ブルームバーグがまとめたデータによると、3月の発行額は前年同月比で94%増と、世界全体の伸びの4倍超となった。
大和証券の大津大デット・キャピタルマーケット第3部担当部長は、「M&A向けの資金需要を背景に、今期も発行は高水準を維持する見通しだ」と語る。
大和証は今年度の国内社債発行額が16兆5000億円に達すると予想している。これは過去最高だった25年度(15兆9000億円)を上回る水準だ。みずほ証券とSMBC日興証券、野村証券、三菱UFJモルガン・スタンレー証券の担当者も3月下旬のインタビューで、今年度の社債発行額が過去最大を更新する可能性があると指摘した。
日本は世界で最もM&Aが活発な市場の一つとなっている。企業が資金を成長投資に向けるよう、投資家からの圧力に直面していることが背景にある。
日本企業はこれまで資金調達を銀行からの借り入れに依存してきたが、大型案件や長期プロジェクトで社債の活用が広がっている。ブルームバーグのデータによれば、日本企業が買い手となったM&Aの総額は25年暦年に約31兆円と過去最高を記録した。
SMBC日興証券の小田徳高デット・シンジケート部長は、「企業は全部銀行ローンにするわけにもいかず、銀行側も貸し出しが増える中で預金はそれほど増えていない」と指摘。企業の資金調達の多様化に期待する。
イラン戦争に伴うボラティリティーの高まりを受けて新年度入り後の起債ペースこそ緩やかだが、小田氏は今年度の社債発行額は前年度比8000億円増えると試算する。新型コロナ禍で発行された社債の借り換えも発行を押し上げる要因だと指摘した。
ブルームバーグのデータによると、今年度の償還予定額は約11兆2000億円と、前年度から8%超増える見込みだ。
中東情勢が企業に心理的重しとなっている兆しもある。ブリヂストンは先週、市場環境を見極めるため、準備中の社債の条件決定時期を1週間ほど延期した。
野村証券の河田寿キャピタル・マーケット部DCMグループ次長は、中東情勢の混乱は社債発行増加の流れを大きく変えるほどの影響はないとみる半面、発行条件の悪化により、起債を見合わせる発行体や、発行額が減少するケースが出てくることは想定されるとの見解を示す。
それでも同氏は大型M&Aに伴う資金需要や借り換え需要が支えとなり、今年度の社債発行額は最高更新が視野に入ると予想している。
--取材協力:田村康剛.
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