(ブルームバーグ):日本銀行の植田和男総裁は13日、先行きの金融政策運営について、現在も不透明な状況にある中東情勢の行方や影響を注視して日銀が示している経済・物価見通しの実現確度やリスクを点検していくと語った。
都内で行われた信託大会のあいさつを氷見野良三副総裁が代読した。
植田総裁は、政策判断で重視している基調的な物価上昇率に対し、原油価格の上昇が「上下双方向に作用する」と説明。景気の下押しによって基調を下振れさせる可能性がある一方、予想物価上昇率の上昇につながれば、基調を押し上げに作用すると述べ、近年は物価上昇メカニズムが強まっている点に留意が必要とした。
これらを踏まえた金融政策運営に関し、中東情勢はなお不透明な状況にあるとの認識を表明。その帰すうやそれが経済・物価・金融情勢に及ぼす影響を注視しつつ、「経済・物価の中心的な見通しが実現する確度やリスクを点検していきたい」との見解を示した。

中東情勢の緊迫化に伴う不確実な状況が続く中、27、28日の金融政策決定会合で追加利上げに踏み切るのか、日銀の情報発信が注目されていた。通常であれば金融業界団体主催の定例イベントでの総裁あいさつは、直近の会合の声明文をなぞる形が多かったが、今回は現時点での日銀の考えを丁寧に説明する異例の形式となった。
野村総合研究所の木内登英エグゼクティブ・エコノミストは同日のリポートで、今回の総裁あいさつで「日銀が引き続き利上げの方針を維持していることを改めて確認した」と指摘。一方、イラン情勢の経済の影響により警戒的だとし、利上げ見送りの地ならしの可能性もあるとの見方を示した。
政策金利の維持を決めた3月会合の主な意見では、物価の上振れリスクを背景に、今後の利上げが必要との指摘が相次いでいた。植田総裁が、改めて情勢を慎重に見極めて判断する考えを示し、利上げの方向性を明確にしなかったことから、足元の金利スワップ市場の利上げ予想はあいさつ前の45%程度から30%台前半に下がった。
日本経済は、1月の経済・物価情勢の展望(展望リポート)で示した見通しに「おおむね沿って推移している」としつつ、中東情勢で金融市場が不安定化し、原油価格も大幅に上昇しており、「今後の動向には注意が必要だ」と指摘。原油高が景気を下押しし、長期化すれば生産活動に影響するリスクに言及した。

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