ローマ・カトリック教会の教皇レオ14世は、米国とイランとの紛争で神は米国側にあるとするトランプ政権の主張に異議を唱えた。1月に駐米バチカン大使と米国防総省高官の間で厳しいやり取りがあったとの報道を受け、バチカンとホワイトハウスは対立を否定しているが、教皇はトランプ政権を批判する発言を続けている。

教皇は10日、「神はいかなる紛争も祝福されない」とXに投稿。「平和の君キリストの弟子である者は誰であれ、かつて剣を振るい、今日爆弾を投下する者の側に立つことは決してない。軍事行動が自由のための空間や#Peace(平和)の時代を築くことはない」と強調した。

米国出身のレオ14世は名指しは避けたものの、今回の投稿はトランプ大統領とヘグセス国防長官による言動を受けたものだ。両氏は米国の対イラン戦争を宗教的な言葉で表現し、撃墜された米戦闘機のパイロットをイエス・キリストになぞらえ、神が米軍に神聖な加護を与えているなどと主張した。

教皇レオ14世

教皇の批判を受け、トランプ大統領は12日、レオ14世が「犯罪に対して弱腰だ」と批判。「イランが核兵器を保有しても構わないと考えているような教皇を私は望まない」とソーシャルメディアに投稿した。

トランプ氏はさらに、「米国がベネズエラを攻撃したことをひどいことだと考える教皇もいらない。ベネズエラは米国に大量の麻薬を送り込み、さらに悪いことに刑務所を空にし、殺人犯や麻薬密売人、殺し屋を含む囚人をわが国に送り込んできた国なのだ」と主張した。

大統領はその直後、イエス・キリストに似せた自身のイメージをソーシャルメディアに投稿。ローブを身にまとい、医療従事者や軍人に囲まれながら病人を癒やす姿が描かれている。

「神の摂理」

ホワイトハウスで記者会見するトランプ米大統領とヘグセス米国防長官(右、4月6日)

トランプ氏は今月の記者会見で、神はこの戦争における米国の行動を支持しているかと問われた際、「そうだと思う。なぜなら神は善だからだ」と答えた。

同じ会見でヘグセス氏は、3日の聖金曜日に撃墜され、復活祭の日曜日に救出された米軍パイロットとキリストとの間には共通点があると主張。「パイロットは再生し、全員が帰還し所在が確認された。国は歓喜している。神は善だ」と述べた。

ヘグセス氏はその2日後の会見で、イランに対する数千回に及ぶ米軍の攻撃は「神の摂理による保護、奇跡的な保護を伴う大規模な取り組みの下で遂行された」と語り、「全ての栄光は神のものだ」とした。

自身の任務とイランでの戦争を宗教的な文脈で捉えるヘグセス氏の一連の発言に対し、レオ14世は、世界で増える紛争に反対する声明を相次いで発表している。

教皇は1月、ベネズエラのマドゥロ大統領を拘束した米軍作戦の数日後、より平和な国際秩序を訴え、米国を間接的に批判した。トランプ氏が4月7日のソーシャルメディアへの投稿で、「一つの文明全体が今夜滅ぶだろう」とイランを脅した際には、こうした脅迫は「断じて容認できない」と、より強い調子で批判した。

亀裂を否定

米国防総省とバチカンは、当時の駐米バチカン大使と同省高官との間で1月に行われたやり取りが報じられた後、亀裂を否定した。

フリー・プレスの報道によると、米当局者はカトリック教会に対し、国際情勢において米政府側の立場を取るよう圧力をかけ、応じない場合は悲惨な結果を招くと伝えたとされる。それによれば、コルビー国防次官(政策担当)が1月、当時の駐米バチカン大使クリストフ・ピエール枢機卿を呼び出し、警告したという。

国防総省とバチカンは、1月22日に行われた同会談は率直ながらも礼儀正しいものだったとし、協力への意欲をそれぞれ表明した。同省は声明で、「われわれは聖座(教皇庁)に対して最大限の敬意を抱いており、継続的な対話を歓迎する」と述べた。バチカン側も「相互に関心のある分野について議論するため、米政府関係者らと会い、対話する機会があることに感謝している」とコメントしている。

原題:Pope Rejects US Claim That God Has Picked a Side in the Iran War、Trump Attacks Pope for Iran War, Immigration Criticism (1)(抜粋)

--取材協力:Laura Davison.

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