当面も円安値圏での推移が続く見通し

4月末以降、ドル円相場は政府・日銀による為替介入とみられる動きを受けて、一時的に円高方向に振れたものの、その後は再び円安方向に戻している。為替介入は、急速な円安進行に歯止めをかけるのに一定の効果を持つ一方、円安基調そのものを反転させるには限界がある。

当面のドル円相場は円安圏で推移しよう。為替介入への警戒感が過度な円安の歯止めとなるが、円買い材料も乏しい展開が続くと見込まれる。円安圧力が残る背景として、主に以下の3点が挙げられる。 

第1に、日米金利差の縮小余地が乏しいことである。米国では、資源価格の上昇などを背景にインフレ懸念が再燃しており、FRBによる利上げ観測が強まっている。一方、日銀は利上げ姿勢を維持しているものの、景気や物価への影響を見極めながら慎重に政策運営を進めるとみられる。このため、日米金利差が大きく縮小するとの期待は高まりにくく、円買い圧力は限られる。

第2に、資源高による日本の貿易赤字の拡大懸念である。中東危機を受けて原油価格は高止まりしており、エネルギー需要の多くを輸入に頼る日本では、輸入額の増加を通じて実需面からの円売り圧力が強まりやすい。

第3に、日本の財政運営への不安である。中東危機による物価高に対応するため、日本政府は補正予算を編成して電気・ガス料金補助などの家計支援策を検討している。こうした措置は短期的な負担軽減に資するものの、財源を赤字国債に依存するとの見方が強まれば、財政規律への懸念を通じて円の信認を損なうリスクがある。市場では、物価高対策が優先され、成長力強化につながる投資が後回しになることへの警戒も残る。