(ブルームバーグ):週末に行われた協議で米国とイランは和平合意に至らなかった。これが13日の市場心理を圧迫し、安全資産の需要を押し上げるだろうと、アナリストらはみている。
協議の結果は、停戦発表以降にリスク資産へのエクスポージャーを増やしていた投資家の失望を誘う公算が大きい。バンス米副大統領は、イランが核兵器を追求しないとの確約を示さなかったため、合意がないまま協議を引き揚げると記者団に語った。
これにより週明けの13日は先週1.4%下落したドルが、原油とともに上昇する見込みだと、アナリストらは予想する。株式は幅広く売られる見通し。原油相場はホルムズ海峡の通航に対する制約の継続を材料に動くことになるだろう。金には買いが入る可能性がある。
一方、今回の協議が和平実現への一時的な後退に過ぎないと投資家が見なすなら、市場の反応は限定的かもしれないとの見方を示すアナリストもいる。
アナリストの見解は以下の通り。
◎キャピタル・ドットコムのアナリスト、カイル・ロッダ氏:
米国債について、基本シナリオは寄り付きで条件反射的な買いが入り、その後は安全資産需要とインフレ懸念がせめぎ合い、価格が上下に動くという展開だろう。買いが持続するかどうかは、取引開始時の原油価格の水準に完全に左右される。ホルムズ海峡を巡る懸念から原油価格が高く始まれば、インフレ期待が急速に修正され、利回りは下支えされる。
13日の鍵となるのは、市場が今回の協議を一時的な決裂と解釈するか、停戦の構造的な枠組みの崩壊と見なすかだ。これによって、リスク回避の動きがすぐに収束するのか、それともさらに拡大するのかが決まる。事態が極めて流動的であるのは明白で、米国とイランのいずれかから再び好戦的な発言が出るのか、交渉が再開されて新たな進展があるのかを見極める必要がある。
◎サクソ・マーケッツのチーフ投資ストラテジスト、チャル・チャナナ氏:
協議が合意に至らず終了したのは、後退と言える。市場にとっては、安心感による買いは失速する公算が大きいことを意味する。原油価格は再び上昇しそうで、リスク志向は再び打撃を受けるだろう。ホルムズ海峡は完全な閉鎖ではなくとも、事実上の封鎖が続く見通しだ。
しかし、核開発の保証やホルムズ海峡を巡る双方の隔たりがどれほど大きかったかを考えれば、これは驚くべきではない。ドルにとっては、安全資産としての支持が再び強まる要因となるが、新たな軍事的エスカレートがない限り、本格的な急騰には恐らく至らない。金は、地政学的リスクへのヘッジ需要再燃で恩恵を受ける可能性があるが、市場が最悪のインフレショックを想定する状況に完全には戻らないだろう。
◎マラヤン・バンキングのストラテジスト、フィオナ・リム氏:
多少の失望感はあるかもしれないが、完全に予想外だったとは言えない。13日の取引時にドルは上値を伸ばす可能性がある。特定のアジア通貨、特にエネルギー純輸入国である韓国ウォン、日本円、フィリピン・ペソ、タイ・バーツは、10日に下落し始めており、下落圧力は今週も続く可能性がある。
◎UOBケイ・ヒアンのプライベート・ウェルス・マネジメント責任者、ケネス・ゴー氏:
合意が実現しなかったことで、市場には地政学的なリスクプレミアムが残る。過去を振り返ると、今回のような協議決裂の際には、市場は寄り付きで安全資産に資金をシフトさせる傾向がある。つまり、ドルと米国債が買われてきた。
より重要なのは、その後の動きだ。ホルムズ海峡の通航が引き続き制限される場合、市場は単なるリスク回避の動きから、スタグフレーションリスクの織り込みへと移行することになる。
◎ペッパーストーングループのストラテジスト、ディリン・ウー氏:
合意に至らなかったことで、不透明性は強く残る。ごく短期的には、ドル上昇と利回りの小幅な低下が、かなり妥当な結果だろう。
米国債市場の反応は、ニュースに対する当初の反応が落ち着いた後、より複雑になる可能性が高い。短期物の利回りは安全資産需要で低下傾向をたどるかもしれないが、原油価格の上昇が持続すれば、インフレ期待が急速に高まり、長期債利回りには再び上昇圧力がかかるだろう。
13日はまた、エネルギーや防衛セクターが市場全体を上回るパフォーマンスとなり、大幅に上昇して寄り付く可能性が高い。エネルギーは供給縮小の直接的な恩恵を最も受けるセクターで、防衛は地政学リスクの高まりといっそうの持続が追い風になる。
だが、どれだけ動くかは、原油高の持続性と、市場がこれを長期の供給ショックだと見なすかどうかという2つの重要な要因に左右される。
◎AI(人工知能)活用の市場分析会社メイカAIのディオニソス・コントス共同創業者:
ニュアンスが注目に値する。イラン外務省は追加協議の可能性を残している。このため交渉の完全な崩壊ではなく、不透明性が長引いたに過ぎない。これは13日の市場の反応が激しいものになるか、それとも抑制されたものになるかを考える上で重要になる。
セクター別で、13日の市場で最も取引が活発になるのはエネルギーだろう。ホルムズ海峡は事実上の封鎖が維持され、原油供給の高水準の不確実性も続く。防衛関連にも関心が集まる可能性があるが、多くはすでに株価に織り込み済みだ。
海運や航空会社には売り圧力が続く。成長株や必需品ではない消費財銘柄は、リスク回避の循環的な売りに見舞われる可能性がある。
原題:Failure of US-Iran Talks Set to Weigh on Risk Assets Monday(抜粋)
もっと読むにはこちら bloomberg.com/jp
©2026 Bloomberg L.P.