クレジット市場は人工知能(AI)関連の勢いが続いている。中東情勢の緊張がエネルギー価格やインフレを押し上げるとの懸念を上回り、AI分野へのエクスポージャーを求める需要が拡大しているためだ。

地政学的な逆風にもかかわらず、ウォール街はここ数週間、AIブームを支える数百億ドル規模の資金調達をまとめることに成功した。市場の混乱はむしろ、投資家が安全資産を求める中で、AI関連の高格付け債を今年より魅力的にしている可能性もある。

GW&Kインベストメント・マネジメントのポートフォリオマネジャー、ブレット・コズロウスキー氏は「AIに関して自己実現的な強気相場の中にいる」と述べ、「発行があれば資金を供給し、その資金供給がさらなる発行を促す構図」との見方を示した。

メタ・プラットフォームズなど「ハイパースケーラー」と呼ばれる大規模なクラウド企業の潤沢な手元資金と低いレバレッジ水準は、クレジット投資家の安心材料となっている。

市場が落ち着きを取り戻す中、モルガン・スタンレーは、ハイパースケーラーやその他AI関連投資を支える今年の高格付け債発行額について、戦争前の4000億ドル(約64兆円)との予想を維持しているとブルームバーグ・ニュースに語った。

1-3月(第1四半期)にすでに、オラクルとグーグルのアルファベット、アマゾン・ドット・コムがドル建てで計800億ドル超を調達した。

マスミューチュアルの投資戦略責任者ケリー・コワルスキー氏は、「クオリティーの高い投資適格発行体であれば、特に現在の環境では需要が非常に強いため、資金調達に苦労することはない」と説明した。

高格付けの公募債市場以外でも、コアウィーブは借り入れ拡大を続けている。メタにAIコンピューティング能力を供給する新たな契約を結んだ後、17億5000万ドルのジャンク(投機的格付け)債を発行した。

一方、パシフィック・インベストメント・マネジメント(PIMCO=ピムコ)は、ミシガン州のオラクルのデータセンタープロジェクト向けデットファイナンス140億ドルの一部を、大手機関投資家にプライベート市場で売り出す計画をしている。

こうした取引は、AI関連施設を対象としたより広範な資金供給の一環だ。銀行団はメタが支援するオハイオ州のデータセンター向けに30億ドルのローン債権を売却している。

ソシエテ・ジェネラルはデータセンターへのエクスポージャーの一部について大規模なリスク移転を検討し、新規案件に向けた資本余力の確保を図っている。

AI関連起債の成功は、クレジット市場全体に広がる不安とは対照的だ。過去1カ月、優良企業でさえ資金調達のために不安定な市場が短期的に落ち着くタイミングを捉える必要があった。

市場は一様に安定していたわけではない。LSEGリッパーのデータによると、3月最終週には米国の高格付け債から50億ドル余りが引き揚げられ、2025年4月以来最大の資金流出となった。週間ベースでの流出は昨年11月以来。

バークレイズの債券資本市場グローバル責任者メーガン・グレーパー氏は、「投資適格市場は完璧な状況を前提に価格付けされており、最近の地政学的なノイズは予期せぬイベントが資金調達計画を頓挫させ得ることを再認識させた」と述べた。

それでも、「これまでに見られたハイパースケーラーの社債発行は、借り手が先手を打ち、有利な資金調達環境を活用していることを示している」と指摘した。

「Bloomberg Real Yield」が市場の動きを伝える

原題:AI Juggernaut Rumbles on Even as Markets Whipsaw: Credit Weekly(抜粋)

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