(ブルームバーグ):トランプ米大統領がイランに突きつけた合意期限まであと数時間に迫り、さまざまな結果に備えざるを得ない状況に投資家らは再び追い込まれた。
債券を買い増す向きもいれば、コモディティーを大量に購入している向きもいる。現金確保を優先している投資家もいる。しかし、全員が共通して抱いているのは、トランプ氏の揺れ動く姿勢が数週間にわたって市場を不安定化させ、投資家のいら立ちと先行きの不透明性を生んでいるとの見解だ。
米資産運用会社コーエン・アンド・スティアーズでマルチアセット戦略を統括するジェフリー・パルマ氏は、「黒か白かというような、どちらか一つの結果を予想して投資するのは極めて困難だ」と指摘。「現状を乗り切る最善策は何だろうか。最も可能性が高いのは、インフレが長期にわたり高止まりし、エネルギーやコモディティー価格に特段の圧力がかかる展開だ」と述べた。
グローバルCIOオフィスのゲーリー・ドゥーガン最高経営責任者(CEO)は、向こう数時間で「理性が勝つ」ことを望んでいると語った。ドバイから一時的にインド中部の都市ジャバルプールの実家に身を寄せている同氏は、株式への投資を縮小し、上場投資信託(ETF)を通じて原油を買い入れている。
トランプ氏が期限を設定してはそれを延長することを繰り返しているが、トレーダーらは期限に逐一対応し、それが市場の急変動を生んでいる。
米東部時間7日午後8時という最新の期限を前に市場は再び揺れ動いている。イランの主要石油輸出拠点であるカーグ島で爆発音が聞こえたとメヘル通信が報じた後、株価は下落し、原油は上昇。ドルと米国債は売られている。

ラ・フィナンシエール・ド・レシキエのトレーディング責任者デービッド・クルク氏は、戦争が早期に終わるとみて当初は強気ポジションを取っていた投資家が、今では事態の悪化に備えてオプションを購入していると指摘。
「現在の市場は、上昇する方が痛みを伴うような設定だ」と同氏は説明し、「トレーダーにとって底値を逃すことが本物のリスクとして認識されている。だからこそ、地政学的な側面に関連してわずかな好材料が出てくるだけで、市場には不釣り合いなほどの影響が表れている」と論じた。
トランプ氏は中東での戦争を終結させるにはホルムズ海峡の航行の自由が合意の一部として欠かせないとの主張を繰り返し、期限内にこれが満たされない場合には、イランの主要インフラを徹底的に破壊するとどう喝している。
トランプ氏は6日、イランとの協議が「順調」だとしつつ、海峡の再開を「極めて重要な優先事項」と位置づけた。ただ、過去数週間の発言の中で同氏は、海峡に関する合意は戦争終結のための中核的な前提条件ではないとしていた。
トランプ氏はまた、期限の再延期は「極めて可能性が低い」とも述べている。
戦争が長引けば長引くほど、ドルに買いが集まる公算が大きい。ドルは安全資産としての地位に支えられ、戦争開始以降約2%上昇している。
「ホワイトハウスが最大限の圧力をかけようとする一環で期限を設定しているのかは誰にも分からないが、停戦や、あるいは現在の期限の長期間延期が伝えられれるまでは、ドルは買い優勢で推移するだろう」と、ING銀行の為替戦略責任者クリス・ターナー氏(ロンドン在勤)はリポートに記した。

一方、トランプ氏の脅しには慣れてきたと話す投資家もいる。
ファイブスター投信の下村英生シニア・ポートフォリオ・マネジャーは、トランプ氏を市場は「おおかみ少年」と見なし始めたと述べ、「焦点はますますイランの対応、特にホルムズ海峡の封鎖を解除するかどうかに移りつつある」と指摘した。
株式デリバティブ市場では、今回の期限に大きなリスクプレミアムは見られていない。米国のオプション取引は、期限経過による軍事攻撃の規模はこれまでと同様の程度と投資家が見込んでいることを示唆している。
原題:Traders Brace for Trump’s Iran Deadline as Frustration Grows (1)(抜粋)
--取材協力:David Finnerty.もっと読むにはこちら bloomberg.com/jp
©2026 Bloomberg L.P.