(ブルームバーグ):中東情勢の悪化で原油や石油化学製品の供給が滞り、建設資材の急激な値上げが相次いでいる。販売価格を1割以上押し上げるとの見方もあり、資材費や人件費増を背景に続いてきた価格高騰に拍車がかかりそうだ。
原油から作られるアスファルトの住宅用建材は防水のために屋根や外壁に使われる。大手の田島ルーフィングは4割超の値上げを発表した。塗料用シンナーでは日本ペイントが75%値上げした。塗料用シンナーは複雑な供給網のどこかで目詰まりが起きているとして、政府が対応を急いでいる。
不動産市場に詳しいオラガ総研の牧野知弘代表によれば、建設資材のほとんどは輸入品で賄われ、石化製品も数多く使われる。コスト増は避けられず、新築マンションの場合で販売価格が1割以上高まる可能性があると述べた。木造戸建ての資材も輸送費の高騰などを受けるため「無傷では済まない」という。
不動産経済研究所の調査によれば、2025年の全国新築分譲マンションの平均価格は前年比7.8%高の6556万円だった。首都圏は同17%高の9182万円で1億円目前となっており、今後も価格が上昇すれば購入意欲が減退しかねない。
コスト吸収困難
不動産賃貸大手の大東建託が国内サプライヤー166社に実施したヒアリングでは、21社で原料調達の遅延や石油由来の原材料が高騰する影響が出ていた。
同社では材料費が建設コストの6割を占める。広報担当者によれば、特に照明やユニットバスなどの住宅設備、サッシやクロスなどへの影響が懸念されている。半年先までの資材を確保しており現時点で大きな影響はないが、海外からの調達では輸送日数の増加を見込んで木材の追加発注を行う方針だ。事態が長期化すれば全体で15-20%のコスト増が見込まれるという。
建設物価調査会によると、3月の建設資材物価指数(2015年=100)は総合値が145.3となり、16カ月連続で上昇した。資材や人件費の増加に悩まされてきた建設業界にとって、中東情勢の悪化は大きな負担だ。
中長期では家賃にも影響が及ぶ。関西で11棟約400室の賃貸マンションを経営するブエナビスタは、1月に賃料の引き上げを入居者に打診し、9割超の同意を得たばかり。図越寛社長はさらなるコストも転嫁せざるを得ないとしながらも、「全てを賃料に反映すれば新たな入居者が遠のき、さらに収益を悪化させかねない」と漏らした。
現時点では、安価な代替品への切り替えを考えていないという。将来の資金回収に向けて商品価値を高め、入居率の維持につなげていくため、高くても良い部材を使う意向だ。
利上げもハードルに
不動産エコノミストの吉崎誠二氏によれば、資産価値の向上が見込みづらくなっていることから、転売目的の投資家は売り姿勢に入りつつある状態だ。相場を引き上げてきた海外投資家に対しては、政府が不動産取得の規制を検討し始めるなど警戒を強めている。
中東からの新たな高騰要因が買い控えにつながるとネガティブなムードは加速するといい、「少しの調整で終わるか、ガクンと下がるかは今後の金利の上がり方やどれだけ問題が長引くかで変わってくる」と指摘した。
さらに日本銀行が早ければ27-28日の金融政策決定会合で利上げを行うとの観測が高まっている。急激なインフレ抑制に向けて利上げが行われれば、返済負担の増加で実需層・投資層どちらにとっても購入ハードルが上がる。
オラガ総研の牧野氏は、住宅価格の高騰や金利上昇で不動産在庫が積み上がる恐れがある中、借入負担まで重くなれば、特に中堅・中小の不動産関連企業で財務負担が増す可能性があると警鐘を鳴らした。
--取材協力:堀江政嗣.
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