(ブルームバーグ):三井住友フィナンシャルグループ(FG)と日本生命保険が、企業買収向け融資を提供するファンドを共同で設立する方向で協議に入った。レバレッジド・バイアウト(LBO)融資を中心に手掛けるプライベートクレジットファンドとする案が軸で、規模は5000億円超となる可能性もある。
複数の関係者への取材で分かった。両社はファンド設立に向けた基本合意を目指して現在、協議を進めている。LBOでは融資のほか、劣後ローンや優先株など出資と融資の中間に位置するメザニンファイナンスも検討する。不動産やインフラ向け融資を扱う案もある。今年度を通じ、規模や運用体制、出資比率などを詰めた上でファンドを立ち上げる。
日本企業がガバナンスや資本効率の改善を進める中、合併・買収(M&A)は増加傾向にあり、1件当たりの金額も膨らんでいる。買収先の資産などを担保とするLBO融資は手元資金を超える金額を調達し、巨額買収を実現する手段として活用されてきた。ただ、出し手はメガバンクなどの大手行に偏っており、企業の一段の成長を支える資金需要に十分対応できなくなる懸念があった。
新ファンドは、3メガ銀の一角と国内生保最大手がタッグを組んでリスクマネー供給のすそ野拡大を図る試みで、M&A市場拡大の勢いが一段上のステージに上がったことを意味する。国内生保がこの規模のプライベートクレジットファンドに主導的立場で参加するのは初めてで、運用の多様化を進める生保業界でも先進的な事例となる。
関係者によると、三井住友銀行や日本生命が主要なファンド出資者となり、両社が合弁でファンドの運用会社を設立する計画だ。三井住友FG傘下の三井住友DSアセットマネジメントが運用の助言を行う。他の投資家からの出資も募る。
三井住友FGの広報担当者はコメントを控えた。日本生命の広報担当者は、資産運用の高度化に向けて他社との協業を含め、さまざまな検討をしているが、決まった事実はないとしている。
三井住友FGの中島達社長は3月のインタビューで、企業買収向け資金の融資で案件が巨額化しているとして、この分野にプライベートクレジットが資金を提供することは「われわれのビジネス上でも決して悪いことではない」と述べていた。「今後、国内で伸びる可能性は大いにある」とも語った。
LBOファンドは欧米では盛んに活用されているが、日本ではまだ事例は多くない。三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)が2023年、メガバンクとして初めて「LBOシニアローンファンド」の1号を設立した。25年1月設立の2号ファンドと合わせて約350億円規模となった。今年に入りLBOメザニンファンドも立ち上げた。
--取材協力:佐野七緒.
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