(ブルームバーグ):日本銀行が6日に開いた支店長会議では、中東情勢の影響は現時点で限定的ながらも、長期化した場合は地域経済を下押しする懸念が多くの支店から示された。会議での報告をまとめた「各地域から見た景気の現状」を公表した。
中東情勢の緊迫化を受けた原油価格の高騰や物流の停滞に伴い、仕入れコストの上昇や原材料の供給制約による稼働率の引き下げといった影響が見られ始めていると複数の地域が指摘した。「今後の展開次第では、地域の景気を下押しする可能性があることから、その動向を十分注意してみていく」との報告があった。

日銀が重視する賃金動向は、春闘で大企業中心に2025年度並みの高水準の賃上げが広がっているのを受け、地域の中小企業でも「26年度も25年度とおおむね同程度の賃上げ方針を示す企業が多い」と多くが報告。価格設定面では、人件費や物流費の上昇を販売価格に転嫁する動きが続いているとの報告が多かったという。
支店長会議では、中東情勢の緊迫化による地域経済への影響に関するヒアリング情報が注目されていた。報告からは、足元までは25年度並みの賃上げ方針や価格転嫁の継続など地域経済への影響は限定的にとどまっている一方、企業の先行き懸念の強さも浮き彫りになった。
正木一博理事・大阪支店長は会見で、中東情勢を受けて不確実性は急速に高まっているが、現時点では引き続き個人消費や設備投資など堅調な内需が関西経済全体の緩やかな回復を支えていると説明。ただ、情勢が深刻化・長期化した場合、「企業活動に対する悪影響が広がる可能性が高く、注意していく必要がある」と述べた。
その上で、管内企業の賃上げに影響を与える可能性は否定できないとしつつ、「中東情勢で今年の賃上げが難しいとの話は、現時点で私の耳に届いていない」と指摘。また、これまでの利上げの影響に関し、「企業金融や企業活動に大きな影響を与えているとは認識していない」と語した。
さくらリポート
会議に合わせて公表した地域経済報告(さくらリポート)では全9地域が景気の総括判断を据え置いた。一部に弱めの動きも見られるが、全ての地域で、景気は「緩やかに回復」、「持ち直し」、「緩やかに持ち直し」としている。
植田和男総裁は3月の金融政策決定会合後の会見で、中東情勢の緊迫化などで景気が下押されても、基調物価に影響がなければ利上げは可能と説明。同会合の「主な意見」では原油高に伴う物価上振れリスクを背景に利上げの必要性を指摘する声が相次ぎ、市場では早ければ今月の会合で追加利上げが行われるとの見方が増えている。
足元の金利スワップ(OIS)市場が織り込む日銀の利上げ確率は、4月会合までが約65%、6月会合までが約88%。7月会合までは100%超となっている。
(正木理事・大阪支店長の発言を追加して更新しました)
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