空港には出発の5時間前に着くべきなのか。それとも、4時間で足りるのか。

米国のニューヨークやテキサス州ヒューストンの空港で、連邦政府予算の失効により空港の人員が抑制され、保安検査に長蛇の列ができている。利用客のいら立ちと怒りは募るばかりだ。

テック企業勤務、ジョセリン・チョウさん(30)は、ベリーズへの休暇のため、24日にヒューストン空港を経由して飛行機に乗る予定だった。保安検査の列に並ぶため、午前3時に起床した。フライトの5時間以上前に空港へ着くと、列は出発階から到着階にまで蛇行していた。待ち時間は2時間で予想よりは短かった。

チョウさんは「まるで家畜のように扱われている気分だった。こんなのは初めてだ」と振り返る。

不満は、ヒューストン空港に着く前から感じていた。ニューアーク空港での遅延のため、本来23日に乗る予定だった乗り継ぎ便に乗り遅れたのだ。宿泊せざるを得なかったホテルの代金をユナイテッド航空に求めたが、補償対象外だと告げられた。

辞職と欠勤

米国土安全保障省のビス次官補代行によると、政府機関の一部閉鎖の影響で、運輸保安庁(TSA)職員450人以上が辞職し、数千人が欠勤している。その結果、空港で勤務する職員が減少し、運用に制約が生じている。

23日には約11%の職員が欠勤した。ヒューストン、アトランタ、ニューオーリンズ、ニューヨークの空港の欠勤率が特に高かった。

ヒューストンのジョージ・ブッシュ・インターコンチネンタル空港は、一部のTSA検査場が閉鎖され、保安検査を迅速にできる「プリチェック」や「クリア」のサービスが全面停止されたとして、待ち時間が4時間を超える可能性があると乗客に警告した。

プエルトリコのルイス・ムニョス・マリン国際空港では、保安検査の列が2つのターミナルをまたいで建物の外まで延び、仮設テントの下まで続いた。通常なら保安検査を通過するのに30分もかからないが、今週は待ち時間が2-5時間に及んでいる。

ナタリー・スウィートさん(40)と夫は、プエルトリコの首都サン・フアンでの学会出席後、テネシー州ノックスビルの自宅へ戻ろうとしていた。午後の便を予約し、最終日をゆったり過ごすつもりだった。だが、仮設テントの下で暑さに苦しむ人々の様子をソーシャルメディアで見たため、出発の5時間前に空港へ駆けつけたという。

スウィートさんは「今朝はのんびり過ごすつもりだったが、そうはいかなかった」と語った。

政治問題化

空港の長蛇の列は、ソーシャルメディアで広く拡散され、政治問題化している。国土安全保障省の予算失効について、共和党は民主党を非難し、民主党も反論している。

米連邦議会では、移民改革を巡る対立が続く。議会民主党は、移民・関税執行局(ICE)による暴力的な取り締まりの問題を受け、移民関連業務を縮小する改革を支持している。TSA単独への資金拠出を繰り返し求めているが、共和党に阻止されてきた。

米ジョージア州アトランタのハーツフィールド・ジャクソン・アトランタ国際空港で職務にあたるICE職員(3月23日)

資金が途絶えたことで、TSA職員はすでに給与を1回分受け取れておらず、議会で合意に至らなければ、次の給与も受け取れない恐れがある。

トランプ政権は23日から空港にICE職員を配置し、出口の警備や乗客の誘導など「重要度の低い」業務を担当させている。

イリノイ州シカゴのブランドン・ジョンソン市長は、23日からの複数シフトにわたり、オヘア国際空港に75人の警察官を配置する予定だと述べた。

23日午後、ニューヨークのジョン・F・ケネディ国際空港(JFK)では、保安検査の待ち時間が1時間以上に及び、「Police ICE」と書かれたベストを着た職員が旅客を誘導していた。

JFK空港のウェブサイトでは通常、保安検査の待ち時間の目安を確認できるが、状況が急速に変化しているため、現在は表示が停止されている。

原題:‘We Were Just Cattle’: TSA Lines Anger Flyers in NYC, Houston(抜粋)

--取材協力:Aashna Shah、Allyson Versprille、Kara Carlson、Catarina Saraiva、Joe Carroll.

もっと読むにはこちら bloomberg.com/jp

©2026 Bloomberg L.P.