中東産原油の供給不足が深刻化し、韓国ではごみ袋や即席麺など、日常生活の隅々にまで影響が及ぶ恐れがある。

今回の危機で、石油製品の一種でプラスチック製品の主要な原料であるナフサの供給がひっ迫。韓国の化学大手各社は生産の停止や削減を余儀なくされている。国内最大の石油化学メーカーであるLGケムは23日、3カ所あるナフサ分解工場のうち1カ所の操業を一時的に停止すると発表した。

韓国はナフサの国内需要の約半分を中東から調達しており、戦争が長期化すれば、同国経済全体が影響を被る。プラスチック包装や建材、繊維、家電、ガソリン精製に至るまで、ナフサは韓国の生活に不可欠な存在だ。

パニック買いの兆しはすでに表れ、供給不安の高まりからごみ袋を買いだめする住民が増えている。ソウル中心部の龍山区にあるコンビニエンスストアでは既に複数のサイズのごみ袋が売り切れ、再入荷は遅れていて、26日以降となっている。隣接する中区のスーパーマーケットでは、ごみ袋の売り上げが平時の数倍に急増したため、1人あたり20枚までの購入制限を設けた。

買いだめは、日本でも見られている。日本ではトイレットペーパーのパニック買いが見られつつあり、政府は落ち着くよう呼びかけている。同国では1973年のオイルショック時に買いだめが全国的な現象となり、2011年の東日本大震災や新型コロナウイルスの流行時にも再発した。

韓国では食品業界にもナフサ危機が及びつつある。韓国化学産業協会(KOCIC)によると、ナフサから作られ、食品容器・包装用プラスチックに使用されるエチレンの価格は1月以降にほぼ倍増し、1トン当たり1400ドルを超えた。

Photographer: SeongJoon Joon Cho/Bloomberg

世界的な人気を持つ韓国の即席麺大手各社は、包装用プラスチックフィルムの在庫が数カ月分しかないと説明している。業界首位の農心は、現在の在庫はおよそ2-3カ月分だとの見方を示し、「ブルダック炒め麺」をヒットさせた三養食品は、向こう1-2カ月の間は供給が安定すると見込んでいる。

ホルムズ海峡の通航障害で輸送料が高騰し、イラン戦争が始まって以来、ナフサ価格は60%余り上昇した。KOCICの上級マネジャー、ハ・ジンジュ氏によると、会員企業が支払うナフサ価格は1月には1トンあたり約600ドルだったが、先週時点で当時から価格はほぼ倍増した。

世界的な供給過剰と中国の大幅な生産能力拡大に不安定な価格が相まって、大規模な再編が進む韓国の石油化学業界はさらなる圧力にさらされている。LGケムは、米国やアフリカから原材料を確保するために「総力戦」を展開していると述べ、3月下旬から4月上旬が業界にとって重大な転換点になると警告した。

「しばらく前から状況は厳しく、複数の工場がいまや閉鎖や稼働率の引き下げを強いられている」とハ氏は述べ、多くの企業は在庫がわずか2週間分しかないと指摘した。

韓国の消費者にとって、最も差し迫った問題はごみ袋だ。同国特有の「従量制(ジョンニャンジェ)」と呼ばれるごみ処理制度の下、政府指定の決まった袋を購入してごみを捨てることが義務づけられている。

環境省は、ごみ袋の供給が崩壊する可能性は極めて低いとしているものの、中東の戦争が長期化する事態に備えた予防的な措置として、全国の在庫水準に関する緊急調査を先週開始した。70の地方販売店や複数の政府機関にごみ袋を供給するオンラインプラットフォーム「従量制.com」は23日、全国的に発送が遅れていると報告した。

農心と三養はいずれも、ナフサ不足が長期化すれば生産には重大な打撃となり、小売価格に大きな値上がり圧力がかかると警告している。

約2万社の加工業者を代表する韓国プラスチック工業協同組合連合会のオ・キョンホン理事は、ナフサ不足が長期化するなら「ラーメンや医薬品、衣類、タイヤに至るまで、ビニール袋やポリエステルを使用する全ての分野に影響が及び、実質的に経済全体がまひするだろう」と述べた。

原題:Oil Crunch Threatens South Korea’s Garbage Bag, Ramen Supply(抜粋)

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