(ブルームバーグ):イランに近隣する湾岸アラブ主要国は、米国とイスラエルによる対イラン戦争への参戦を検討しており、重要インフラを攻撃された場合はその選択を迫られる可能性がある。事情に詳しい複数の関係者が述べた。
特に影響力が大きいサウジアラビアとアラブ首長国連邦(UAE)は、港湾やエネルギー施設、空港へのイランからの攻撃に対し、忍耐の限界に近づいているという。関係者は自由に発言するために匿名で明らかにした。ただし参戦はイランが湾岸の電力や水インフラといった重要施設を攻撃した場合に限られ、そのハードルは高いと関係者は付け加えた。
関係者によると、オマーンのように仲介役としての役割維持を望む例外はあるものの、多くの湾岸諸国は参戦に傾斜している。一方でイランが攻撃を激化させる可能性があるため、参戦には慎重だ。さらにトランプ米大統領がイランと合意に達した場合、戦災を受けた上、険悪な関係にあるイランへの対応を、これらの諸国が余儀なくされる可能性があると、中東に駐在する欧州外交官が述べた。
参戦しなくても同様の事態は起こり得ると、多くの国が懸念していると、関係者らは述べた。
この戦争は湾岸地域におけるイランとイスラム教スンニ派諸国との関係を一変させた。サウジアラビアとUAEは過去5年間の大半を、イランとの関係安定化に費やしてきた。イスラム教シーア派神権体制であるイランは、イデオロギーと影響力の拡大を試みていると長年みなされてきた。スンニ派諸国によるこれまでの取り組みは、イランとの紛争回避が目的だったが、それが今、現実に起きようとしている。
バーレーンとクウェート、サウジ、UAEはいずれもこの24時間に、イランが発射したドローンやミサイルを迎撃した。イランはこれら諸国の空域や領土を米国が利用して自国を攻撃しているとして、湾岸諸国は正当な攻撃対象だと主張しているが、各国はこれを否定している。
サウジとUAE、バーレーン、クウェートの外務省報道官にコメントを求めたが、現時点でいずれからも返答は得られていない。

安全保障機関に近いイラン高官によると、トランプ大統領がイラン産原油の90%が輸出されるカーグ島の制圧を実行すれば、イランからの反撃が中東全域でさらに広がるきっかけになる。同高官は内部協議について話しているため、匿名を条件に語った。
戦争が始まって以降、イランは湾岸諸国に対しミサイルやドローンを5000発近く発射している。石油・ガスインフラや空港、米軍基地に加え、多くの場合、住宅地や外交官居住地区、観光地も標的となっており、特にUAEが攻撃の大半を受けている。アラブ湾岸諸国では少なくとも20人が死亡した。
こうした一連の動きにより、湾岸諸国は米欧の同盟国とともに、より集団的に対応する必要があるとの認識を共有したと、ある湾岸諸国の高官は述べた。
同高官によると、湾岸協力会議(GCC)加盟国はイランおよびその代理勢力から想定される計画に関し、情報の共有と連携を大幅に強化している。重要インフラの防護や、食料安全保障の確保、核施設や石油施設が攻撃された場合の緊急対応が目的だ。
原題:Gulf States Weigh Military Options to Counter Iran’s Escalation(抜粋)
(カーグ島制圧やその他の影響に備える湾岸諸国の動きを追加します)
--取材協力:Julius Domoney、Golnar Motevalli.もっと読むにはこちら bloomberg.com/jp
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