(ブルームバーグ):13日の日本市場では円が対ドルで一時159円60銭台まで売られ、1年8カ月ぶりの安値を更新した。イラン戦争を背景とした原油価格の高止まりでドル買いが進んだ上、日本の政策当局による為替介入や早期利上げは難しいとの見方が円の重しとなった。
原油高による景気や企業業績の先行きを不安視した売りで株式は続落し、債券も下落(金利は上昇)した。
イランの新たな最高指導者モジタバ・ハメネイ師はホルムズ海峡の閉鎖を継続するべきだと主張し、米国とイスラエルの攻撃が継続した場合は他の戦線を開く意思があると明らかにした。12日の取引で再び1バレル=100ドルに迫った米原油先物は、アジア時間13日は95ドル前後でもみ合った。
週末にかけ中東情勢の不透明感は非常に強く、原油市況の動向に投資家も神経質になっている。米財務省は既に海上輸送中のロシア産原油を購入できるようにする2度目の許可を出した。ペルシャ湾での戦闘が続く中、原油高圧力を和らげることが狙いだが、明確に相場を押し下げる状況には至っていない。
みずほ証券の山本雅文チーフ為替ストラテジストは、戦争による原油高というコストプッシュ型のインフレに対する利上げには高市早苗首相が反対するとみられ、日本銀行としても消極的だろうと指摘。「早期利上げによる円安抑制は見込み難い」と話した。日銀は来週18ー19日に金融政策決定会合を開く。
為替
東京外国為替市場の円相場は対ドルで159円台半ばと、2024年7月以来の安値を付けた。堅調な米経済指標やイラン戦争を背景とした原油価格の高止まりを見込むドル買いが先行。これまでの年初来安値は1月14日の159円45銭だった。
また、 オーストラリア・ニュージーランド銀行(ANZ)外国為替・コモディティ営業部の町田広之ディレクターによると、当局から強いトーンのけん制が見られなかったことも円の安値更新につながったと言う。
片山さつき財務相は13日の閣議後会見で、足元で円安が進んでいることに関し、国民生活に与える影響を念頭に「いかなる場合も万全の対応を取る方針で臨んでいる」と発言した。
三菱UFJ銀行グローバルマーケットリサーチの井野鉄兵チーフアナリストは片山財務相の発言内容について、円が突出して安いわけではなく、発言のトーンは高めづらいことも感じられ、「断固たる」という強い語気の言葉は使わなかったのではないかと推察した。
ANZの町田氏は、週明けの最大の注目材料は日銀会合だと話す。声明文や植田和男総裁の発言に地政学リスクや先行きの不透明要因を慎重に見極める姿勢が表れれば、4月の利上げをメインシナリオとする見方が後退し、さらなる円安につながり得ると警戒している。
株式
原油高によりインフレと景気停滞が同時に進むスタグフレーションのリスクが警戒され、業種別では輸送用機器やゴム製品、電機、機械など輸出セクターを中心に空運、海運株も安い。個別では電気自動車(EV)など電動化戦略の見直しに伴う巨額の損失計上を発表したホンダ、ジェフリーズ証券が投資判断を引き下げたソフトバンクグループの下げが目立った。
一方、小売りや食料品、倉庫・運輸など内需セクターの一角、鉱業や卸売り、石油などエネルギー関連は高く、相場全体を下支えした。
三井住友DSアセットマネジメントの市川雅浩チーフマーケットストラテジストは、ホルムズ海峡の通行量が回復するまでは原油は高止まりすると分析。日本株もボラタイルな動きが続くとみており、備蓄の放出も短期的な対症療法に過ぎず、不安は払拭されないとの見方を示した。
一方、アバディーン・ジャパンの荒川久志取締役兼運用部長は、中東情勢に関するポジティブなカタリストがあれば相場は急騰する可能性があり、過度に悲観的になることはリスクだと指摘。造船株や半導体、出遅れている内需株など下がったタイミングで押し目買いを入れていると言う。
債券
債券相場は下落。原油高を受けた利下げ観測の後退による米長期金利の上昇を材料に、終日売りが優勢だった。
岡三証券の長谷川直也チーフ債券ストラテジストは、イランを巡る「戦争がどこまで続くか分からず、ポジションを傾けにくく、短期的な取引を行う向き以外は参加しにくい」と話した。
この日財務省が実施した10年クライメート・トランジション(CT)国債の入札については「応札は多いわけではないが、最高落札利回りは市場予想を下回り、おおむね順調にこなした。債券相場へのインパクトはない」と分析した。
10年CT債の投資家需要の強弱を反映する応札倍率は3.42倍と、前回昨年10月21日入札の3.56倍から低下した。
新初発国債利回り(午後3時時点)

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--取材協力:日向貴彦.もっと読むにはこちら bloomberg.com/jp
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