(ブルームバーグ):トランプ米大統領とイランの新たな最高指導者モジタバ・ハメネイ師は、戦争開始から13日目を迎える中、双方とも強硬姿勢を示した。米国が原油価格抑制に向けた新たな取り組みを打ち出したものの、エネルギー市場の不安は和らいでいない。
トランプ氏は12日、イランが核兵器を保有し中東を脅かす事態を阻止することは、原油価格の抑制よりも「自分にとってより重大な関心事であり、重要だ」とSNSに投稿した。
その後、SNS「トゥルース・ソーシャル」への別の投稿で、米国の対イラン攻撃について「われわれには比類のない火力、無制限の弾薬、そして十分な時間がある」と強調。イランに「何が起きるか見てみよう」と警告した。
モジタバ師は4日前に父の後を継ぎ、最高指導者に就任して以来初めて声明を発表し、ホルムズ海峡が事実上、封鎖されている状態を維持する方針を表明した。米国とイスラエルが攻撃を続けるなら、新たな戦線を開く考えも示した。
原油価格は12日に9%超上昇した。北海ブレント原油先物終値は2022年8月以来初めて1バレル=100ドルの大台に乗せた。ニューヨーク商業取引所(NYMEX)のウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)原油先物も約3年ぶりの高値で引けた。
ホルムズ海峡の事実上の封鎖により、日量数百万バレル規模の供給が混乱しており、こうした状況を国際エネルギー機関(IEA)は、世界生産に対する過去最大の打撃だと表現した。トランプ政権や各国政府がエネルギーコスト引き下げを狙って打ち出した一連の措置も、原油高の歯止めにはならなかった。

ブルームバーグの報道によると、トランプ政権は原油高対策の一環として、米国内の港湾間で物資を輸送する際に米国製船舶の使用を義務付ける海運法について、一時的な適用除外を認める方針だ。この法律は100年以上前に制定された。
トランプ氏は軍事作戦の狙いの一つとして、イラン政権の打倒を挙げているが、イスラエルのネタニヤフ首相は12日、47年間にわたりイランを統治してきた政権について、現在は弱体化しているとはいえ、必ずしも打倒される保証はないとの認識を示した。
同首相は戦争開始後、初めて臨んだ記者会見で、「体制は最終的には内部から崩れるものだ」と語った。
攻撃の応酬続く
イランを巡る戦争が沈静化に向かう兆しはほとんどない。イスラエルは12日、イラン全土で新たな大規模攻撃を実施し、イランもドバイや海上輸送に関わる船舶や設備への攻撃を強めた。
英国のヒーリー国防相は記者団に対し、イランがホルムズ海峡で機雷の敷設を開始した可能性が高いと述べた。AFP通信によると、イランの外務次官はこれを否定した。

英国海事貿易機関(UKMTO)によると、過去24時間にペルシャ湾内で商船3隻が攻撃を受けた。海上輸送の混乱が拡大しつつある状況を浮き彫りにした。
モジタバ師は「敵にあまり経験がなく、極めてぜい弱な他の戦線を開くことについて、検証作業が始まっている。戦争状態が続けば、国益に従って、それを発動させる」とも語った。
ドバイ当局は12日午前に少なくとも2回の攻撃を確認した。夜間に住民に対してミサイル警報が出されており、安全な避難先とみなされてきたドバイへの脅威が浮き彫りとなった。クウェートは自国の国際空港に向けて複数の無人機が発射され、物的被害が出たと発表した。
事情に詳しい関係者によると、米当局者は議員らに対し、対イラン戦争の最初の6日間にかかった費用は113億ドル(約1兆8000億円)余りだったと説明した。この額は、イラン戦争の費用の説明としてこれまでで最も具体的だ。
米国とイスラエルは2月28日以降、空爆でイランを攻撃している。米中央軍は軍事作戦開始以降、約6000の目標を攻撃したと明らかにした。イランは湾岸地域に向けてミサイルや無人機で応戦している。紛争はエネルギーや金融市場を揺るがしただけでなく、空の便数千便の欠航や肥料などの物流混乱も引き起こした。
公式発表や非政府機関の集計によると、戦争開始以降、中東全域で約2500人が死亡した。
米国に拠点を置く人権団体「ヒューマン・ライツ・アクティビスツ・ニュース・エージェンシー(HRANA)」によると、これまでに少なくとも1825人のイラン人が死亡した。国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)はX(旧ツイッター)への投稿で、最大320万人のイラン人が一時的に避難したと明らかにした。
米軍ではこれまでに7人が死亡している。米国務省は12日、戦闘開始以降で約4万7000人の米国民が帰国したと発表した。
湾岸諸国やイスラエルでも複数の死者が出ている。レバノン国営通信社NNAによると、レバノンでは3月2日に始まったイスラエルの攻撃で約634人が死亡した。
原題:US, Iran Strike Defiant Tones as Oil Markets See Slim Relief (3)、US, Iran Strike Defiant Tones as Oil Markets See Slim Relief (2)、Trump Warns Iran to ‘Watch What Happens’ Today(抜粋)
(トランプ氏の最新のSNS投稿を追加します)
--取材協力:John Bowker、Eric Martin、Devika Krishna Kumar.もっと読むにはこちら bloomberg.com/jp
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