(ブルームバーグ):米カリフォルニア州フリーモントにあるメタ・プラットフォームズのキャンパスで、同社は自社製半導体のテストを進めている。社内の設計チームが、数千億ドル規模に上る人工知能(AI)戦略を支えるため、自社開発のカスタムシリコンの評価に取り組んでいる。
半導体開発は簡単ではない。設計から量産までの道のりは長く、コストも莫大だ。成果を出すには高度な技術力が欠かせない。
それでもメタは野心を隠さない。コンピューティング資源への需要が高止まりするなか、調達先の多様化を急いでいる。エヌビディアやアドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)のAI向けプロセッサーで高額契約を結び続ける一方、独自半導体の開発も中核戦略に据える。
メタが独自の半導体設計の新たなロードマップを公表する準備を進めるなか、筆者は今週、フリーモントを訪れ、その実情を取材した。
6カ月ごとの投入計画
研究施設では、MTIA 300とMTIA 400という2種類の新しい半導体でワークロードの検証が行われていた。
メタ・トレーニング・アンド・インファレンス・アクセラレーターチームによると、MTIA 300は「Athena」の名称でも呼ばれ、すでに生産段階に入っている。研究室では、Athenaで実際のソフトウエアを動かし、その機能を検証していたという。フェイスブックやインスタグラムで、ユーザーのフィードに表示されるコンテンツの順位付けや推薦を行うタイプのAI向けに使用される想定だ。
もう一つのMTIA 400は「Iris」といい、より大型で生成AIの処理に適している。ユーザーのプロンプトを処理し、何らかの出力を生成するのを支援することを意味する。ChatGPTのようなAIツールの利用者にとってなじみのある対話形式の応答がその一例だ。
メタはこうした半導体を6カ月ごとに投入している。Irisに続き、MTIA 450「Arke」とMTIA 500「Astrid」を相次いで導入する計画だ。2027年を目標とするこれらの半導体も、主に「inference(推論)」プロセスに軸足を置く。AIモデルが判断を下し、コンテンツを生成する工程を担う。
より高度な半導体開発への壁
メタは自前のインフラ整備に巨額を投じているのは疑いようがない。昨年にはスタートアップのリボスを買収し、これら4種類の新AI半導体を並行開発できる体制を整えた。人材基盤の強化にも余念がない。
ただ、メタが単にモデルの応答を支えるだけでなく、当初からモデルの訓練を実際に担う、より複雑な半導体を開発できるのかは見通せない。
理論上は、自社半導体の開発には合理性がある。ハードウエアは、膨張を続けるAI競争の中でも最もコストがかさむ分野の一つだ。自社のワークロードを熟知している強みを生かし、用途に最適化した設計を行えば、効率向上やコスト削減につながる可能性がある。
メタの内製化戦略が実を結ぶのか、それとも既存大手への依存を脱せないのかはなお見通せない。だが、巨額投資を続ける同社にとって、半導体開発の成否はAI戦略の根幹を左右する。
原題:Meta Dives Into Complicated World of Chipmaking: Tech In Depth
(抜粋)
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