人工知能(AI)脅威論で低迷していたゲームをはじめとする日本のコンテンツ関連株に復活の兆しが見え始めている。知的財産(IP)の強みに加えて、割高感の解消や資源価格高騰の影響を受けにくい点が投資家に見直されている。

米国とイスラエルがイランに対する軍事攻撃を開始した2月末以降、東証株価指数(TOPIX)の6.1%下落に対して、日本のゲーム・アニメ関連株で構成される指数(Solactive Japan Games and Animation Index)は1.2%安にとどまった。構成銘柄は任天堂やソニーグループ、カプコン、コーエーテクモホールディングス、スクウェア・エニックス・ホールディングスなどだ。

この指数は年初来では6.9%安とTOPIXの8.5%高を下回っている。ゲームなどのコンテンツ関連株はAI技術進展によるビジネスモデル陳腐化への懸念から大幅に売られてきていた。

IT・コンテンツ株を注目しているという三菱UFJモルガン・スタンレー証券の大西耕平上席投資戦略研究員はこれまでの関連株下落について、競争力や業績の明確な悪化ではなく米ソフトウエア株との連れ安などが主因と指摘した。バリュエーション(投資尺度)から相応に調整済みで、地政学リスクや商品価格の影響を受けにい点で中東情勢が混乱しても下値は限定的とみている。

割安感

ゲーム関連株は、グーグル親会社のアルファベットが、3D仮想世界を簡単に生成できるAIツールの「プロジェクト・ジーニー」の最新版を発表した1月末以降、大きな売り圧力にさらされてきた。ソニーGや任天堂といったゲーム機メーカーにはさらに半導体メモリの価格高騰が追い打ちをかけていた。

このセクターのアナリストらは比較的強気の業績予想を維持しており、ゲーム・アニメ関連株指数の予想1株当たり利益の改善率は、TOPIX銘柄を上回る。目先の利益見通しが改善する一方で株価は大幅に下落したことから、株価収益率(PER)が近年で最低水準付近まで下がるなどバリュエーション面では割安感が拡大している。

米運用会社マシューズ・インターナショナル・キャピタル・マネジメントの竹内俊太郎ポートフォリオマネジャーは、AI脅威論で幅広いソフトウエア関連株が売られる局面は終わりに近づいていると指摘した。

「AIで作られた曲がスポティファイなどにかなりアップロードされているという話題も出るが、だからといってテイラー・スウィフトの曲を聴く時間が激減する、ということにはなってない。ゲームも似た話だろう」と述べ、今後は銘柄選別が進む中で一部のゲーム関連銘柄については買い戻されるとの見方を示した。

また英エディンバラを拠点とする資産運用会社ベイリー・ギフォードの日本株担当パートナー、ドナルド・ファーカソン氏も、IPを持っていることが日本のゲーム企業の強みだと指摘する。

数多くのゲームが制作されているものの、1万以上のユーザーレビューが付くゲームは全体の0.5%であり、5年以上の実績があるゲームが好まれているとして「実際に長く売れるゲームを作るのは簡単ではなく、任天堂やスクエニHなど価値の高いIPを持っている企業に優位性がある」との見方を示す。

懐疑的

懐疑的な声もまだある。AIにより先行き不透明感が強まる中、一部の銘柄はかつてのような高バリュエーションに戻るのは難しいかもしれない。また3月のアウトパフォーマンスは、米国・イスラエルの軍事行動に端を発したリスクオフ局面で「AIハードウエア買い、ソフトウエア売り」というトレードが巻き戻されたという部分もある。

SOMPOアセットマネジメントの田中英太郎シニア・インベストメント・マネジャーは「ゲーム関連は一時より調整したとはいえ、まだ保有している投資家は多い。リスクオフ時はゲーム株の売却が出やすい」と語った。

同時にその田中氏も、ゲーム関連企業の収益の根幹はIPであるためAIによるダメージはソフトウエア関連企業ほどは大きくならないとも指摘している。

実際、任天堂の株価は10日、新作のポケモンゲームがヒットしていることを受け急反発、IPの重要性を市場に再認識させることになった。そのゲーム開発に子会社が携わったコエテクHも大幅高になった。

株価が相応に調整したことで、ダウンサイドは見えてきた、との評価も増えている。マッコーリーキャピタル証券の山科拓アナリストは、過去20年でのゲーム株のPER底値は金融危機時などで15倍を切るレベルだったのに対し、現在は20倍程度まで低下している、と指摘した。

その上で「ファンダメンタルズ的には問題がないことを投資家は理解しており、良い材料があれば買いやすくなる。決算で業績安定感が見えてくれば安心感から見直されやすい」との見方を示した。

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