まとめ
キャラクターから得られる安心感や親密さは、日常の緊張を緩和する装置として機能する。
すなわち、こうした消費は、現代におけるセルフケアの一形態と捉えることができると筆者は考える。つまり、いま見られる大人の子ども向けコンテンツ消費は、「大人になりきれていない」ことの表れではない。
それは、大人になっても嗜好を手放す必要がなかった世代が社会の中心に位置するようになった結果である。かつては、成長とともに趣味を“卒業”することが暗黙の前提とされていた。
しかし現在の20~30代は、嗜好を切り離されることなく成長してきた世代であり、好きなものを保持したまま社会的役割を担うことが可能になったのである。
それにもかかわらず、「幼稚だ」「大人らしくない」といった批判が向けられるのは、「年齢に応じて趣味は変わるべきだ」という旧来の規範がなお残存しているからである。
更新されるべきなのは大人の在り方そのものであり、好きなものを手放さずにいられることは、現代消費社会における正当な自己ケアなのである。
(※情報提供、記事執筆:ニッセイ基礎研究所 生活研究部 研究員 廣瀬 涼)
※なお、記事内の「図表」と「注釈」に関わる文面は、掲載の都合上あらかじめ削除させていただいております。ご了承ください。