米物流大手フェデックスが時価総額で競合のユナイテッド・パーセル・サービス(UPS)を初めて上回り、宅配サービス業界で同国最大となった。変動の大きいこの業界で両社の明暗を象徴する節目となった。

UPSは人件費の上昇や取扱量の減少、アマゾン・ドット・コムとの関係を巡る不透明感など圧力に直面。株価は過去数年にわたり下落傾向にある。一方、フェデックスはコスト削減や利益率の改善、貨物事業の分社化など経営陣の計画が投資家の支持を得ていることを新たに示した形だ。

両社の株価は、中東紛争を受けた燃料費上昇や景気への悪影響を巡る懸念から市場全体を下回って推移。ただ、今月に入っての下落率はUPS株が14%に達したのに対し、フェデックス株は6.7%にとどまっている。9日終値時点の時価総額はフェデックスが849億ドル(約13兆3880億円)と、UPSの848億6000万ドルをわずかに上回った。

ネーションワイドのチーフマーケットストラテジスト、マーク・ハケット氏はフェデックスが競合の時価総額を抜いたことについて、「やや意外だ」とし、「UPSがトップであるというオーラは過去のものになった」と語った。

 

2社にとって、時価総額首位の交代は歴史的な逆転を意味する。創業119年の歴史を持つUPSはこれまで一貫して米国で最も企業価値の高い宅配サービス会社だった。茶色の配送トラックと制服姿のドライバーは、企業や家庭にとって日常的な存在となってきた。

一方のフェデックスは、1971年にフレッド・スミス氏が創業して以来、主に挑戦者の立場にあった。専用の航空貨物サービス向けに小規模な航空機群でスタートし、翌日配達を先駆けて導入するなどして物流業界を変革、世界的な大企業に成長した。

両社の株価は、電子商取引の急拡大が一巡し、アマゾンが事業の一段と大きなシェアを取り込むとの懸念が強まったことを受け、新型コロナウイルス禍後に下落した。トランプ大統領の貿易戦争も逆風となったが、フェデックスの方がはるかに速くウォール街の信頼を取り戻した。

アマゾンとの取引縮小のUPSの計画について、投資家は深い疑念を抱き、減収分を一層収益性の高い事業で補えるかどうか確信を持てずにいる。2023年には従業員が大幅な賃上げを獲得し、これも懸念材料となった。

これに対し、フェデックスは欧州事業の再編や貨物部門の分社化計画について、好意的な評価を受けている。今年に入ってからの株価上昇率は、戦争による打撃を受けた後でも25%に達する。他方、UPSはわずかにプラス圏にとどまっている。バリュエーション面でもフェデックスは競合を上回り、来期予想利益の17倍で取引されているのに対し、UPSは14倍にとどまる。

原題:FedEx Tops UPS in Market Value, Becomes Biggest US Parcel Firm(抜粋)

--取材協力:Ryan Beene、Cailley LaPara.

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