(ブルームバーグ):金利上昇が続く中、影響を受けやすい不動産・建設業界で戦略転換の動きが現れ始めた。賃貸住宅国内最大手の大東建託は、家賃を引き上げられる余地が大きい都市部での営業を強化する。その反面、地方の採算が取れないエリアは縮小する方針だ。
竹内啓社長は都内での10日のインタビューで、家賃を比較的上げやすい東京など都市部にリソースを集中させる方針を示した。4月に社長直轄の「東京研究開発事業部」を新設。約600人体制で首都圏市場の開拓を進めている。成果が出れば大阪や名古屋でも同様の取り組みを展開する考えという。
同社は賃貸経営受託の事業モデルを取る。地主などにアパート経営を提案し、自社で建物を建築。オーナーから物件を借り上げて物件管理や家賃の徴収まで手がける。これまで全国で幅広く展開してきたが、金利上昇や物価高騰など事業環境が大きく変化する中、注力地域の取捨選択を進める。
竹内氏によれば、地方によっては「家賃が1万円上がると住めなくなる」状況で、入居者離れを懸念して値上げがしづらい。国内の営業エリアを重要度で3つに分けて最下位のカテゴリーのエリアでの新規受注を減らしていき、「ゼロに近いほうに」持っていきたいとしている。
日本銀行は15ー16日に開いた金融政策決定会合で政策金利をさらに0.25ポイント引き上げ1%とすると決めた。約31年ぶりの高水準だ。不動産投資の資金調達コストが増える中、関連業界にとっては需要減の懸念が持ち上がっている。中東情勢の緊迫化などもあって建築資材は上昇しており、ダブルパンチとなる。
家賃は、長年にわたり価格変動が乏しく「岩盤品目」と見なされてきた。だが、竹内氏は「建築費も上がる、金利も上がる、そうなると家賃を上げざるを得ない」と述べ、経済環境の激変で潮目が変わったとみている。
全国約9万3000人の土地オーナーを顧客に持ち、国内で約130万戸の物件を管理する賃貸住宅最大手の大東建託の取り組みは、不動産投資の都心集中を加速させ、都市部での賃料上昇加速につながる可能性もある。
超長期ローン
一方で、土地オーナーの返済負担軽減策として、返済期間が40年や50年といった超長期事業ローンの活用後押しも進める。最終的な支払額は増えるものの月々の負担額を抑えられるメリットがある。一昨年から始め、現在では約8割の顧客に利用されているという。
竹内氏は50年を超える会社の歴史の中で、リーマン・ショックなどの金融危機を除けば今が最大の試練だとの認識を示し、今後も建築にかかるコストや金利は「さらに上がっていく」とみており変化を続ける必要がある話す。
ただ都心部強化のため不動産開発会社の合併・買収(M&A)なども手掛けており、当面の問題には「対処できている」との見方を示した。一昨年に進出したロサンゼルスを足掛かりに米国市場の開拓を進める。中古のコンドミニアムにリノベーションを施して再販する堅実なビジネスを念頭に物件取得や管理会社の買収も検討する。
竹内氏は賃貸住宅の管理物件数約130万戸は日本のみならず世界でも最大規模だといい、海外事業を拡大させて名実ともに「世界一の大家さん」になりたいとの抱負を語った。
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