(ブルームバーグ):中国の国会に相当する全国人民代表大会(全人代)が5日、北京で開幕する。2030年までの経済政策の最終調整を進めるとともに、世界的な混乱から自国経済を守る方針を打ち出す。
李強首相は開幕日に行う政府活動報告で26年の経済目標を公表する予定だ。23年以来となる成長目標引き下げとなる可能性もある。今後5年間の経済政策を描く「第15次5カ年計画」は、12日に閉幕する全人代の終盤に正式に採択される見通しだ。
世界各地で連鎖する紛争により、今回の決定は例年になく重大な意味を持つ。また、中国共産党の習近平総書記(国家主席)は、31日から4月2日まで訪中するトランプ米大統領と首脳会談を行う予定だ。
中国ウオッチャーが全人代で注目しているのは、経済政策だけでない。中国人民解放軍は習氏による大規模な粛清にさらされており、軍幹部の他にも、地方政府の要人や企業トップを含む代表数千人の中に姿を見せない人物がいないかを確認する場となる。
全人代は綿密な演出が施された会議だ。だが、指導部の考えをうかがい知る数少ない機会でもある。現時点で、数カ月前に策定された計画が大きく修正される可能性は低く、26年は慎重な景気刺激策を維持し、必要に応じて年後半に調整する方向だと考えられている。
BNPパリバの栄静チーフエコノミスト(中国担当)は、「財政・金融の余地が限られる中で当局は成長鈍化を受け入れ、深刻な内外ショックがない限り積極的な刺激策は回避する」と予想。
「注目点は重要テクノロジーやエネルギー、原材料の自給体制に向けた工程表」で、イランを巡る危機で「供給ショック回避への決意を強める可能性が高い」と述べた。
中国の輸出が底堅さを維持していることに加え、米連邦最高裁がトランプ氏による大がかりな関税措置を無効としたこともあり、中国政府が危機対応モードから徐々に軸足を移す可能性もある。
広義の財政赤字については、小幅な拡大にとどめ、必要であれば年後半に追加支援を行う選択肢を残す公算が大きい。地方の大半が成長目標を引き下げたことを受け、中央政府が国内総生産(GDP)成長率目標を引き下げると多くのエコノミストが予想している。
ゴールドマン・サックス・グループや中信証券など大手金融機関は、当局が今年の成長率目標を4.5-5%のレンジに設定すると予測。25年の目標は5%前後だった。それでもこの水準は、20-35年に1人当たりGDPを倍増させる目標達成に必要と政府が見なす今後10年間の年平均4.17%を上回る。
消費シフト
5カ年計画においてGDPに占める消費の比率に数値目標が盛り込まれれば、輸出依存型経済のリバランスに本腰を入れる姿勢を強く示すシグナルとなる。
人工知能(AI)など新興産業の育成を含む技術振興策も焦点だ。当局は消費喚起策を模索し、投資を選別する中で、成長鈍化をより容認する姿勢を強めている。不動産市場への支援は引き続き限定的となりそうだ。
政府は債務圧力の高まりや国有銀行の利ざや縮小といった課題に直面しており、保守的な成長率目標となれば、大規模な刺激策の可能性は低下する。
公式な財政赤字目標を対GDP比4%の過去最高水準に据え置き、特別債の発行枠も小幅な増額にとどめるとの見方が優勢だ。財政赤字比率を、政策緩和の度合いを示す指標と見る向きもある。
スタンダードチャータードの丁爽氏らエコノミストは、構造転換期における労働市場の圧力を和らげ、家計の期待を安定させ、予防的貯蓄を減らすため、最低賃金の引き上げや社会保障網の強化、育児・高齢者介護への補助継続などが検討対象になり得ると分析している。
経済・社会発展に関する5カ年計画は、1950年代にさかのぼる。しかし、中国がここ40年間で市場経済への移行を進めた後も、指導部が優先課題を示す有力な手段であり続けている。
計画の大枠はすでに明らかだ。共産党は昨年10月の重要会議後に提案を公表し、経済に占める消費の比率を大幅に引き上げると表明した。一方で、テクノロジーの自立や製造業はより高い優先順位に位置付けられた。
HSBCホールディングスのエコノミストは、現在GDPの約40%を占める消費の比率を45%に引き上げる可能性があるとみている。アジアソサエティーのアナリストは42-47%の目標設定を見込んでいる。
インフラ事業も焦点の一つだ。中国は5年ごとに一連の大型建設計画を掲げてきた。市場が見極めようとしているのは、国家主導プロジェクトの規模だ。2025年に初の落ち込みを記録した投資の先行きを占うことになる。
ギャブカル・ドラゴノミクスの創業パートナー、アーサー・クローバー氏はブルームバーグテレビジョンとの3日のインタビューで、「当局の主な責務は経済の技術的能力を高め、技術集約型製造業に注力することだ」と指摘し、「全体的な戦略の方向性を実際に変えていない以上、消費への大きなシフトを真剣に進めることはできない」との見方を示した。
原題:What to Watch as China Leaders Hash Out Plan for Economic Growth(抜粋)
--取材協力:Paul Abelsky.
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