イーロン・マスク氏率いる米スペースXが、主要格付け会社3社から投資適格級の格付けを確保したと投資家に説明していることが、事情に詳しい関係者への取材で分かった。新規株式公開(IPO)後も資金調達を続ける同社にとって、調達コストの低減につながる可能性がある。

約750億ドル(約12兆円)規模のスペースXのIPOは11日に価格が決定され、翌12日に取引が開始される予定。債券市場の関係者の間ではすでに、同社の次の一手が投資適格債市場での資金調達になるとの見方が一部で浮上している。

クレジットサイツのアナリストは今週、「IPO後間もなく」社債発行が行われると予想した。スペースXは2027年9月に満期を迎える200億ドルのつなぎ融資を抱える。米証券取引委員会(SEC)に提出したIPO関連書類によると、3月31日時点の長期債務は291億ドルで、このローンはその大半を占める。

スペースXにとってどのような債務格付けが投資適格となるかは不明で、例えば担保付債務の格付けが対象かどうかも判然としない。同社の提出書類によると、1-3月(第1四半期)の純損益は42億8000万ドルの赤字、売上高は46億9000万ドルだった。前年同期は約40億ドルの売上高に対し、5億2800万ドルの純損失だった。

ただ、同社には将来的に収入を生み出す重要な契約もある。アルファベット傘下のグーグルは2029年半ばまで続くクラウドサービス契約に基づき、コンピューティング能力の提供対価として300億ドルを支払うことで合意している。また、アンソロピックとも今後約3年間で約450億ドル規模の契約を結んでいる。

クレジットサイツのアナリスト、デービス・へバート氏は、こうした契約があれば、仮に投資適格級格付けを取得していなかったとしても、高格付けを得るには十分だろうと述べた。

投資適格級の獲得までに、より長い時間を要した企業もある。例えばマスク氏率いる電気自動車メーカーのテスラは、高格付けを取得するまで長年にわたり投機的格付けにとどまっていた。

クレジットサイツで投資適格債マクロ戦略責任者を務めるザカリー・グリフィス氏は、「スペースXのような企業について、どんな格付けが妥当かを判断するための前例は存在しないと思う」と指摘。「赤字企業は通常、投資適格級企業とは結び付けられない。しかし今回のケースは何もかもが異例で、独自のカテゴリーに属している」と述べた。

企業は公表されない非公開の信用格付けを取得することがある。また、正式な格付け付与には当たらない形で、格付け会社から非公式な見解を得る場合もある。

IPO関連書類によると、スペースXは特定のデットファイナンスやIPOによる調達資金の一部を受け取ってから6カ月以内に、200億ドルのブリッジローンの少なくとも一部を返済する義務を負っている。このローンの多くは、マスク氏のSNS事業や人工知能(AI)事業向けの高金利のジャンク債務の返済に充てられた。

同社はIPO関連書類の中で、「当社は投資適格級の信用格付けを維持することを目指している」と記載し、すでに投資適格級であることを示唆していた。

非公開情報だとして匿名を条件に語った関係者によると、ムーディーズ・レーティングス、フィッチ・レーティングス、S&Pグローバル・レーティングスの3社はいずれも、スペースXを投資適格級と評価している。

ムーディーズとスペースXの担当者はコメント要請にすぐには応じなかった。フィッチは、スペースXに関する格付けを公表していないと説明し、それ以外のコメントを控えた。S&Pグローバル・レーティングスは、同社に対する格付けを付与していないとした。

原題:SpaceX Tells Investors It Has Lined Up Blue-Chip Credit Ratings(抜粋)

--取材協力:Kevin Kingsbury、Caleb Mutua、Shannon D Harrington、Dan Wilchins.

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