米ミネアポリス連銀のカシュカリ総裁とニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁は3日、米国とイスラエルによるイラン攻撃を受け、政策立案で新たな不確実性が浮上したとの認識を相次いで示した。最大の焦点は、エネルギー価格の高止まりがどの程度持続するかにある。

カシュカリ総裁はニューヨークで開催された「ブルームバーグ・インベスト」会議で、「今回の事態がインフレにどのような影響を与え、それがどれほど続くのかを現時点で判断するには早過ぎる」と述べた。

同氏はこれまで、今年の政策金利見通しとして0.25ポイントの利下げを1回想定していたが、この日はその予測に対して自信を持てなくなったと表明。「今は地政学的な出来事が起きているため、さらに多くのデータを見極める必要がある」と語った。

ミネアポリス連銀のカシュカリ総裁、「ブルームバーグ・インベスト」会議で語る

一方、ウィリアムズ総裁はワシントンで行われたイベントで講演し、金融市場への影響はこれまでのところ「比較的軽微」だと指摘。原油価格は上昇しているものの、まだ「劇的」ではないとの見解を示した。

講演後、記者団からインフレへの潜在的な影響を問われ、「この状況がどの程度持続するかを見極める必要がある」と答えた。

週末に米国とイスラエルがイラン全土への攻撃に踏み切ったことを受け、原油価格は急騰した。中東紛争の長期化による経済面の打撃やインフレへの影響が懸念される中、米国債利回りや金相場が上昇した。

ウィリアムズ氏は、ガス価格急騰が欧州に「より深刻な」影響を及ぼし、世界的に波及する恐れがあるとした上で、「焦点は、米経済に定量的にどの程度大きな影響を及ぼすか、そして物価安定の観点からその影響がどの程度持続するかだ」と述べた。

講演では、関税による影響がほぼ落ち着き、インフレが一段と鈍化すれば、追加利下げが正当化されるとの考えを示した。

同氏は用意された原稿の中で、「インフレが私の想定通りの道筋をたどった場合、金融政策が意図せず景気抑制的にならないように、いずれフェデラルファンド(FF)金利のさらなる引き下げが妥当になるだろう」と指摘した。

また、関税措置が今年上期も消費者物価に一定の影響を及ぼすとの見通しを示した。その上で、インフレ率は2026年末に2.5%、27年には2%に低下すると予測した。

ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁

労働市場については、ここ数カ月に「安定化の有望な兆し」が見られると言及。「堅調な」成長に支えられ、失業率は今年から来年にかけて緩やかな低下が続くとの見方を示した。今年の経済成長率は2.5%程度を見込んでいる。

ウィリアムズ氏は「二次的な影響が見られず、インフレ期待がしっかりと固定されていることから、関税による物価への影響はおおむね一時的にとどまるだろう」と述べ、関税による影響は「今年中」にピークが過ぎるとの認識を示した。

ただ、関税の影響がまだ全て現れたわけではなく、FRBの2%のインフレ目標に向けた進展は「一時的に停滞している」という。

米金融当局者の間では、1月の採用増加と失業率低下を受け、労働市場が安定化する兆しを指摘する声が増えている。多くの当局者は、インフレ率が2%の目標に戻りつつあることを示すさらなる兆候を待つ姿勢だ。ただ、一部には雇用創出の機会が広がっていないことから、さらなる利下げが妥当になる可能性を懸念する向きもある。

ウィリアムズ氏は、雇用市場が依然として「異例の低採用・低解雇」の構造にあると述べた。また、家計調査からはより悲観的な認識が示されており、政策当局者はこの「警戒信号」を注視すべきだとの見解を示した。

一方、カンザスシティー連銀のシュミッド総裁は3日、デンバーで開かれた会合で、最近のデータは労働市場が均衡状態にあることを示唆しているようだと指摘。その一方で、インフレ圧力は関税の影響を受ける財とサービスの双方に表れているとし、インフレ率は依然として高過ぎるとの認識を改めて示した。

シュミッド氏は講演テキストで、「インフレ率は5年近く連邦準備制度の目標を上回ったままだ」と指摘。「楽観視する余地はないと考えている」と語った。

原題:Fed’s Williams, Kashkari Point to New Uncertainty From Iran War(抜粋)

--取材協力:Catarina Saraiva、Michael McKee、Jonnelle Marte.

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