・試算方法(日本円換算額は1ドル=155円で試算)

①発電所新設に関わる費用はガスタービンや発電機などの機械・機器、基礎や建屋などの構造物、その他費用等に分けられる。

米国における電力業の設備投資構成(2015〜24年平均)は機械・機器が40.2%、構造物が53.6%、無形資産が6.3%である。

事業費の構成をこれと同一と仮定すると、事業費は機械・機器が134億ドル、構造物が178億ドル、その他が21億ドルとなる。

②2024年における米国の産業連関表に基づくと、(発電設備を含む)一般機械及び電気機器における産出量に占める輸入比率は26.6%である。

同比率を用いると、機械・機器の米国内調達は98億ドル、輸入が36億ドルとなる。

一方、建設業の総産出量に占めるモノ(建設資材等の製造品)の中間投入は34.3%、このうち輸入品に限ると5.2%と試算される。

これに基づくと、構造物支出178億ドルのうち、輸入品に充てられる支出は9億ドルとなる。

③以上をまとめると、ガス発電事業の総事業費333億ドルのうち、輸入品に充てられるのは機械・機器36億ドル、及び建設資材等の9億ドルの合計額、すなわち45億ドル(6,952億円;全事業費の13.5%)と概算できる。

これ以外の支出は米国内における人件費や物品購入に充てられることとなる。

④2025年における米国の輸入実績に基づくと、例えばボイラーやタービン、発電機等(HSコード:8402/8406/8411/8501と仮定)の日本シェアは7.8%である。

これに上記45億ドルを掛けると、日本の輸出は4億ドル(539億円)押し上げられるに留まる。

一方、日米投資案件は日系企業が優先的に製品等を納入すると見込まれ、仮に輸入品の70%を日本製品が占める場合、輸出の押し上げ効果は31億ドル(4,867億円)に達する。

なお、日系企業の製品が採用される場合においても、これを米国工場等で製造する場合には、日系企業の連結収益に押し上げ効果があるものの、輸出に対する影響はより限定される。

なお、上記推計は公的データ等に基づいており、同事業の輸入品等の採用率等は業種平均と大きく異なる可能性があるため、結果は幅を持ってみる必要がある。

(※情報提供、記事執筆:第一生命経済研究所 経済調査部 主任エコノミスト 前田 和馬)