モンロー主義成功の可否は西半球のメリットの説明

米国のモンロー主義への回帰は、資源面における対中依存度の引き下げがポイントとなる。

時間はかかるものの、西半球と同盟国でサプライチェーンを構築することができれば、かなりの程度対中依存度を引き下げることができる可能性はある。

もっとも、経済面で中国は重要な存在であることには変わりは無い。

経済安全保障面でのリスクよりも、貿易相手国としてのメリットが大きければ、米国の“囲い込み”に付き合う必要は無い。

中南米諸国においては、中国との関係を強化することによる政治的なメリットを感じている国も多い。

これに対し、トランプ大統領の対応は独善的な価値観で強権的な言動が目立つ。

これに対する反発や、米国の姿勢こそリスクと感じる国は、むしろ中国との関係を強化することでそのリスクを軽減しようとする。

例えば、カナダは1月、カーニー首相がカナダ首相としては8年ぶりに訪中し、首脳会談を経て「新たな戦略的パートナーシップ」を打ち出し、経済関係の強化を図っている。

一方で、中国政府も、米国の動きを逆手にとって、米国(や日本)以外の国に秋波を送るような姿勢をみせ、経済関係の強化を謳った外交政策を積極化している。

19世紀初頭のモンロー主義は、中南米諸国が宗主国であった欧州列強から独立していく流れのなかで、欧州から西半球を守るという大義名分も立てやすい環境だった。

これに対し、現代のモンロー(ドンロー)主義は西半球を何から守り、どんなメリットをもたらすのかという点の説明が必要だ。

独善的な米国の価値観の押しつけでは、世界は強国の論理に支配される混沌に陥りかねない。

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(※情報提供、記事執筆:第一生命経済研究所 経済調査部 シニア・フェロー 嶌峰義清)