(ブルームバーグ):トランプ米大統領とイラン当局は、戦争の次の段階を巡って異なる見方を示し、迫る停戦期限を前に双方が和平協議に臨むかどうか見通しが不透明となっている。
週末に緊張が一段と高まり、米海軍はオマーン湾でイラン船籍の貨物船に発砲した上で、臨検・拿捕(だほ)した。米国によるホルムズ海峡の封鎖の一環としては初の拿捕となる。
トランプ氏はSNSへの投稿で、「本日、全長約900フィートで空母にほぼ匹敵する重さのイラン船籍貨物船TOUSKAが、われわれの海上封鎖を突破しようとしたが、失敗に終わった」と述べた。
中東での軍事作戦を統括する米中央軍は声明で、Touskaが6時間にわたり停船警告に従わなかったと明らかにした。米海軍は発砲に先立ち機関室からの退避を命じた上で、MK45・5インチ砲で数発を機関室に撃ち込み、同船を航行不能にした。米海兵隊が同船に乗り込み、制圧したと説明した。
トランプ氏は同船が米財務省の制裁対象であり、現在は米国が船を確保していると述べた。

この出来事は、今週パキスタンの首都イスラマバードで開催が見込まれる和平協議を巡る応酬から数時間後に起きた。トランプ氏は同日、合意のチャンスがあると述べた一方、イラン側は合意に向けた「明確な見通し」はないと主張していた。現在の停戦は21日に終了する予定。
トランプ氏はこの日朝早く、「われわれは非常に公正で合理的なDEAL(取引)を提示している。彼らがそれを受け入れることを望む。応じなければ、米国はイラン国内の全ての発電所と全ての橋を破壊する」と、SNSに投稿した。
ホワイトハウス当局者によれば、バンス副大統領とウィトコフ特使、トランプ氏の娘婿ジャレッド・クシュナー氏が20日夜にイスラマバードへ向かい、21日の協議に臨む予定。
しかし、イラン国営テレビは同国交渉チームの一員の発言として「建設的なイラン・米国交渉の明確な見通しは想定していない」と伝え、今週予定される協議への参加計画も否定した。
国営イラン放送(IRIB)は、「米国の行き過ぎた不合理で非現実的な要求、頻繁な立場変更、継続的な矛盾、停戦合意違反とみなされるいわゆる海上封鎖の継続、そして威圧的な言辞が、これまで交渉の進展を妨げてきた。このような状況では建設的な交渉の明確な見通しは描けない」と伝えた。
一方で、停戦中にいったん再開した後、先週再び海峡を閉鎖したイランは、新たな通航料ルールを策定し、議会がホルムズ海峡の管理に関する法律の可決に向けて取り組んでいることを明らかにした。これにはイスラエル関連船舶の通航禁止や、「敵対国」の船舶は最高国家安全保障会議の許可なしに通過を認めないことが含まれる。
ホワイトハウスはイラン側の見解に関するコメント要請に直ちには応じなかった。
こうした中、多国籍の共同海事情報センター(JMIC)は、ホルムズ海峡においてイラン側による複数の船舶攻撃や機雷の存在を報告し、全般的リスク水準は「危機的」だとした。
米国のウォルツ国連大使はCBSの番組で、第2回協議はバンス副大統領が先に提示した条件の延長線上で行われることになると述べた。
トランプ氏は投稿に先立ち、イランが重大な停戦違反を犯したと述べる一方で、和平合意は依然として可能だとの認識を示した。ABCニュースが伝えた。
イランは18日、前日の全面開放宣言から一転してホルムズ海峡を再び封鎖。米国による海上封鎖が続いていることが理由だと説明し、通航を試みた一部船舶を銃撃するまでに至っている。
世界の原油および液化天然ガス(LNG)の約5分の1が通過していたホルムズ海峡を巡る対立は、世界的なエネルギー危機を一段と深刻化させる恐れがある。また、トランプ氏が週末に示した戦争の早期終結見通しにも影を落としている。
ホルムズ海峡は未解決の問題の一つに過ぎず、イランの核開発能力やイスラエルによるレバノン攻撃も重要な争点だ。トランプ氏はイランが核計画を終わらせることに同意したと述べたが、イラン側はこれに異議を唱えている。
レバノンでも緊張再燃
イスラエルとレバノンでの停戦にも不安定化の兆しが出ている。イスラエル国防軍(IDF)は、停戦に違反して部隊に接近した「破壊工作員」を攻撃したと発表した。イスラエル兵1人が死亡し、3人が負傷したという。
イスラエルとレバノンの停戦合意では、イスラエルが「計画された攻撃や差し迫った攻撃、あるいは進行中の攻撃に対して、いかなる時も自衛のために必要なあらゆる措置を講じる権利を維持する」ことが認められている。
イスラエルは18日、南レバノンで「テロリスト集団」を攻撃した。マクロン仏大統領は、レバノンで国連平和維持部隊に対する攻撃によりフランス兵1人が死亡したと述べ、イランの代理勢力であるヒズボラの仕業との見方を示した。
トランプ氏は17日、イランとの7週間に及ぶ戦争を終結させるための合意が間近に迫っているとの見方を表明。イランの「核のちり」の回収に米国が協力すると述べていた。
これに対し、イラン外務省のバガイ報道官は同日遅くに国営テレビで、濃縮ウランは「イランの国土と同じように、われわれにとって神聖なものであり、いかなる状況下であれ、どこへも移送されることはない」と発言。核問題を巡る双方の隔たりが大きいことが浮き彫りとなっていた。
原題:US Seizes Iranian Ship in Blockade, Casting Doubt on Peace Talks、Trump Says New Iran Talks to Seek End of Hormuz Standoff (1)、Hormuz Chaos, Lebanon Clashes Dent Trump Peace Deal Hopes (3)(抜粋)
(マップを追加して更新します。更新前の記事で拿捕された貨物船の位置を訂正済みです)
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