米国にとって経済安全保障上最大のリスクである“中国依存”

トランプ米大統領がモンロー主義への回帰を打ち出す背景には、経済面でも軍事面でも中国との格差が小さくなっていることが挙げられる。

足元で、中国経済は不動産不況や若年層の高失業などの問題を抱えて低迷しており、人口減少傾向に入っていることから長期的な観点でも米中の経済規模は再び拡大傾向に入ったとみることもできる。

軍事面でも、GDPに占める国防費の比率は米国が中国を大きく上回っている。

しかし、国家の存続に不可欠な資源において、米国は中国に依存しきっている。

米国務省が2025年に更新した重要鉱物リストをみると、中国が主要生産国である鉱物がズラリと並ぶ。

またその多くはレアアースやレアメタルと称されるもので、供給国が限定的でサプライチェーンが限られた国に集中しているものが多く、且つ軍事用を含め最新の技術を用いた製品に使われているケースが多い。

したがって、何らかの理由で中国からの供給に支障が生じた場合、これらの資源の入手が困難になり、経済面・軍事面での優位性に支障を来すリスクが高い。

これらの資源を外交上の切り札として中国政府が振りかざしていることは、2010年や足元の日中関係、2025年のトランプ関税を巡る米中の駆け引きなどから明白だ。

中国政府は、レアアースなどの輸出規制について「デュアルユース(軍民両用品)製品・資源について、軍事転用されるものについてのみ規制する」旨表明しており、これはWTOでも認められている“真っ当な”政策だ。

しかし、対中関係が緊張した場合にこうした規制の強化が打ち出されていることを勘案すれば、これらの資源を安定的に確保するには対中関係を良好に保つことが必須となる。

それは例えば中国国内における人権問題や、台湾有事に際して“口をつぐむ”ことが求められているということだ。

同時に、最新鋭の軍事用品に必要な資源を十分に確保できなくなれば、中国との軍事力の格差も縮小し、やがては性能が劣後する可能性もある。

米国にとって、最新兵器の性能が他国に劣後するという事態は、絶対に避けなければならない問題だろう。

では、モンロー主義に回帰して西半球における米国の権益を確保することで、米国は資源面での対中依存状態から脱することができるのか。