対話型人工知能(AI)のChatGPTを展開する米OpenAIは、中国の競合DeepSeek(ディープシーク)がチャットボット「R1」の次世代版を訓練するため、米国の有力AIモデルから成果を抽出する不公正かつ高度化する手法を用いていると米議会議員らに警告した。ブルームバーグ・ニュースが確認した文書で明らかになった。

OpenAIは12日に下院中国特別委員会に送付された文書で、DeepSeekが「OpenAIや他の米国の最先端研究機関が開発した能力にただ乗りする継続的な取り組み」の一環として「蒸留」(別のモデルのアウトプットを訓練目的で利用し同等の能力を開発する)技術を利用したと指摘した。また、自社モデルの出力の不正利用を防ぐ防御策を回避するために設計された「新たな難読化手法」を検知したと説明した。

ブルームバーグが以前報じたところによると、OpenAIは昨年のR1公開直後からこの手法への懸念を非公開で提起し、DeepSeekが自社データを無断で取得したかどうかについて、提携先のマイクロソフトと共に調査を開始した。

Photographer: Andrey Rudakov/Bloomberg

同文書によれば、蒸留は主に中国や時にロシアと関連しており、OpenAIの利用規約に違反するユーザーへの取り締まり強化にもかかわらず続いており、さらに高度化しているという。同社は自社プラットフォーム上で確認した活動に言及した。

DeepSeekや多くの中国製モデルが月額課金を課していないことから、蒸留の広がりは、AIインフラに多額の資金を投じプレミアムサービスに料金を課しているOpenAIやアンソロピックといった米企業のビジネスに脅威となり得る。こうした不均衡は、AI分野での米国の対中優位を損なうリスクがある。

OpenAIはまた、DeepSeekの台頭がもたらす国家安全保障上の別のリスクも強調。DeepSeekのチャットボットが台湾や天安門事件など、中国政府が問題視する話題に関する結果を検閲していたと指摘した。さらに、蒸留によって機能が複製されると、安全対策が軽視されがちであり、生物学や化学といった高リスク分野でのAIモデルの不正利用が広がる恐れがあるとした。

下院中国特別委員会のモーレナー委員長は12日の声明で、「これは中国共産党の常とう手段の一部だ。盗み、複製し、そして殺す」と述べ、「中国企業は米国のAIモデルを蒸留し、自らの利益のために利用し続けるだろう。DeepSeekを構築するためにOpenAIを模倣したときと同じだ」と語った。

OpenAIは文書についてコメントを控えた。在ワシントンの中国大使館およびDeepSeekの広報担当者は、コメント要請にすぐには応じなかった。

原題:OpenAI Claims DeepSeek Distilled US Models to Gain an Edge (1)(抜粋)

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