トヨタ自動車グループは12日、同日を最終日としていた豊田自動織機に対する株式公開買い付け(TOB)期間を3月2日まで延長した。これまでに33.1%の応募があったとし、TOB成立の下限である42.01%の確保に向けて取り組みを続ける。ただ、トヨタグループに賛同する株主は既に応募を済ませている可能性が高く、残りの株取得へのハードルの高さを指摘する声も出ている。

買収手続きを進めるトヨタアセット準備が同日に関東財務局に提出した資料では、1株当たり1万8800円としているTOB価格は豊田織機の「本源的価値を反映した最善の価格」との考えを改めて示し、変更する意向はないと表明した。

豊田織機のTOBを巡ってはトヨタ系の自動車部品メーカーなどのほか、あいおいニッセイ同和損害保険、三井住友海上火災保険、東京海上日動火災保険の3社の損保会社が保有するすべての豊田織機株(計4.14%)について応募する意向であることを明らかにしている。

TOB期限の延長を受けて、豊田織機の株価は午後の取引で上昇に転じた。一時前営業日比1.7%高の2万10円まで買われ、ブルームバーグの記録に残る1974年9月以来の日中高値となった。

ブルームバーグ・インテリジェンスの吉田達生アナリストは容易に賛同が得られる株主は申し込みを済ませているため、ここから先は難易度が高まると指摘。「もっといい値段を付けないと買い集められない」可能性についても言及し、この日の株価上昇はTOB価格の上方修正への期待を反映していると述べた。TOBの成否は「不確定要素だらけ」で見通せないとした。

豊田織機株主である英投資会社スローン・ロビンソンのヒュー・スローン最高経営責任者は、延期についてトヨタグループが成功しておらず、少数株主がより高いTOB価格獲得に近づいていることを意味すると述べた。

同TOBを巡ってはトヨタグループと米国の著名な物言う株主(アクティビスト)、エリオット・インベストメント・マネジメントが対立する異例の事態となっている。

豊田織機のロゴ

トヨタグループが昨年6月に発表した豊田織機株の買い付け価格は直前の株価を下回っていたため海外投資家が強く反発。豊田織機の保有株の価格が上昇したこともあり、トヨタグループは1月にTOB価格を約15%引き上げた。

TOB計画が公表されて以降に豊田織機の大株主に浮上したエリオットは同社の企業価値が依然過小評価されているとしてTOB価格に異議を唱えている。持ち分を7.14%まで増やし、豊田織機単独路線での企業価値向上に向けた計画を発表するなど圧力を強めてきた。

一方、トヨタグループ側は今月2日にTOB価格を再度変更する意向はないと表明。豊田織機株を保有するトヨタグループ各社もTOBに応募する意向に変更はないと3日の決算会見で相次いで表明し、結束が揺らいでいないことを示した。

株式アナリストのトラビス・ランディ氏は、エリオットは声を上げられる状況になれば有利な立場に立てるとし、延期によりそうしたチャンスは増えるとの見方を示した。一方で、投資家は本件について半年以上前から認識しており、「手じまいを望む向きもある」と指摘。期限を延長すれば「トヨタグループはそうした不確実性を利用できる」とも述べた。

(識者のコメントを追加して更新します)

--取材協力:高橋ニコラス.

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