(ブルームバーグ):暗号資産(仮想通貨)ビットコインは2026年初めに激しい値動きとなった。一時、約1年ぶりの安値に沈み、トランプ米大統領のホワイトハウス復帰以降に積み上げた上昇分を全て帳消しにした。
ビットコインは昨年10月から始まった下げ局面が継続している。地政学的緊張の高まりが金融市場を揺さぶり、投資家のリスク許容度を抑制。安全資産とされる金に資金が向かう一方、ビットコインは売りに押される展開となっている。
どれほど深刻か
2月の急落により、ビットコインはわずか4カ月前に付けた過去最高値の12万6251ドルから50%余り値下がりした。暗号資産全体の時価総額も10月のピークからほぼ半減し、約2兆ドル(約313兆円)の価値が消失した。値動きの激しい暗号資産でも今回の下げ幅は異例だ。ビットコインが記録した2月5日の13%安は、暗号資産交換業者FTXが破綻した2022年11月以来、最大の下落率となった。

米国でビットコイン価格に連動する上場投資信託(ETF)は、3カ月連続で資金流出となっている。24年初めの上場以来、最長の流出期間だ。ビットコインの直接保有を避ける投資家の需要に支えられたこれらのファンドは、これまで相場の下支え役を担ってきたが、その構図が揺らいでいる。
何が要因か
今回の急落の明確な引き金は見当たらない。過去にビットコインが急変した局面では、通常は明確なカタリスト(材料)があった。22年のFTX破綻時は連鎖的な倒産や詐欺スキャンダルが相次ぎ、投資対象としての信頼を失墜させた。
対照的に26年は、こうしたセンチメントは乏しい。ビットコインは昨年10月、トランプ氏の関税を巡る脅威を背景に1日で数十億ドル規模の暗号資産関連のポジションが一掃された局面をきっかけに過去最高値から下げに転じた。その後の余波で、仮想通貨の売買に対する投資家の意欲が低下し、ビットコインの長期的な回復力は減退している。
暗号資産を巡るイメージへの影響は
ここ数カ月は伝統的な市場も同様に不安定で、グリーンランド領有を巡るトランプ氏の動きなど地政学的なイベントを受けて、株式や金などが大きく上下している。ビットコインがこれまで果たしてきたインフレヘッジやドルのディベースメント取引(通貨価値下落に備えた売買)に対する防衛手段、テクノロジー株の代替となる投資対象としての役割はいずれも崩落した。
暗号資産を「デジタルマネーの未来」と信じる一部の熱狂的な層を除き、ファンダメンタルズ面での魅力は乏しい。ビットコインは誕生以来、何度も劇的に回復してきたが、同様の回復を望むなら足元の急落局面を乗り切る必要がある。
主な敗者は
25年は、ビットコインなど暗号資産を戦略的に保有・運用する「デジタル資産トレジャリー(DAT)」の年だった。暗号資産価格の下落により、こうした企業は大きな打撃を受け、保有トークンと共に価値が永続的に上昇するという約束は裏切られた。
20年にビットコインを初めて購入し、DATの先駆けとなったストラテジーは今回の急落で大きな影響を受けた企業の一つだ。同社は5日の決算発表で、昨年10-12月(第4四半期)に124億ドルの純損失を計上したと明らかにした。大量に保有するビットコインの時価評価損が主因だ。さらに新たな市場混乱により、同社のビットコイン保有額は23年以来初めて累計取得コストを下回った。

暗号資産業界のリスクは
ボラティリティーの高まりを受け、一部の投資家は暗号資産からより安定した資産クラスへ資金を移動する可能性がある。また、より安全な避難先と見なす暗号資産取引所大手に資産を移す動きも出てくるかもしれない。22年の暗号資産急落局面では、複数の取引所が出金要請を迅速に処理できず、混乱の最中に現金化できない事例が見られた。
デフィラマのデータによると、2月に入り主要な暗号資産プラットフォームの大半で資金流入が見られている。FTX破綻時の教訓を踏まえ、今回の余波への備えも当時より整っているとみられる。

もっとも、10月以降、取引所での流動性不足により価格の急変動がより顕著になっている。価格が再び安定するには、大口取引を大きな価格変動なく吸収する力を示す市場の厚み(マーケットデプス)が必要だ。従来、流動性を供給してきたマーケットメーカーなどは急落後に総じて静観しており、相場の本格反発には、こうしたプレーヤーの市場復帰が不可欠だ。
原題:How Bitcoin’s Volatility Is Testing Crypto’s Appeal: QuickTake(抜粋)
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