(ブルームバーグ):ビットコインなど暗号資産(仮想通貨)を戦略的に保有・運用する「デジタル資産トレジャリー(DAT)」が、足元の価格急落を受けて市場に連鎖的な混乱を引き起こしかねない存在となりつつある。
DATは特定の仮想通貨を積み増すことで、株式市場で持続的なプレミアムを生み出せると考えられてきた。だが、仮想通貨市場がFTX破綻後以来の激しい売りに見舞われる中、その前提にほころびが見え始めている。
DATトップ20社を分析したトークナイズ・キャピタルのマネジングパートナー、ヘイデン・ヒューズ氏によると、DATに対しては資産売却を迫る圧力が一段と強まる恐れがある。市場全般にとって脅威となるのは、これらの企業が大量売却に動いた場合に、投資家心理が損なわれることだという。
ビットコインは足元で、昨年10月につけた最高値の12万6000ドル超からほぼ半値に急落。仮想通貨市場全体で約2兆ドルの時価総額が吹き飛んだ。こうした中、収益を確保できていないDATは、基本的な事業運営を賄うために保有する仮想通貨の売却を余儀なくされるだろうと、ヒューズ氏は述べた。
「収益も、事業としての運営実体もなく、保有する仮想通貨の持ち高を市場を破壊せずに解消する手段もないDATにとって、今回の急落局面は存続に関わる問題だ」とヒューズ氏はリポートに記述。「当社ではこれを『ホテル・カリフォルニア取引』と呼んでいる。つまり、チェックインはできるが、チェックアウトはできない」と話した。
DATが事業運営資金を賄うために一定量の仮想通貨を売却したと開示を行った瞬間、「これらの企業は、強い信念に基づく恒久的な積み増し主体だとの前提が打ち砕かれる」とヒューズ氏。DATの株価下落に加え、上場投資信託(ETF)からの資金流出が重なれば、ビットコインは5万-5万5000ドルのレンジまで切り下がる可能性があるという。米国の現物ビットコインETFからは、過去1カ月だけで20億ドル(約3100億円)超が流出している。

ブルームバーグがまとめたデータによると、過去1年間にDATの上位150社の株価は中央値で62%下落。ビットコインをも上回る厳しい下げとなっている。これらの企業のうち複数は現在、株価が保有資産価値を下回っている。
ヒューズ氏の分析によると、特にリスクが高いDATには、流動性の低いトークンであるRAINを積み増しているエンライベックス・セラピューティクス、トゥエンティワン・キャピタル、XRPの積み増し主体であるエバーノース・ホールディングスが含まれる。トゥエンティワン・キャピタルはソフトバンクグループとステーブルコイン発行会社テザー・ホールディングスの支援を受けている。
エンライベックス、トゥエンティワン、エバーノースはいずれも、現時点でコメント要請に応じていない。
原題:Crypto-Hoarding Firms Pose Fresh Threat to Market After Selloff(抜粋)
--取材協力:Monique Mulima.もっと読むにはこちら bloomberg.com/jp
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