物価高の火元は円安
今回の衆議院選挙で大きな争点となった消費税減税も、「食料品価格の高騰を何とかしてくれ」いう、家計の悲鳴に端を発した議論です。食料品価格の高騰が収まらない最大の理由が円安にあることは明白です。第一生命経済研究所の熊野英生氏は、「物価高のいわば『火元』が円安なのに、『火元』を鎮圧せずに、減税や家計支援といった対策によって『延焼部分だけ手当てしても、被害は消えない』と論じています。その通りでしょう。
今回の高市総理の「ホクホク」発言は、物価高の『火元』が円安にあることを、全くスルーしています。
市場が発する警告
長期金利の上昇、すなわち日本国債売りと、円安が、呼応しながら進む「悪循環」は、リスクの高い現象です。そこに思いを致さず、「ホクホク」などという表現を使ってしまうところに、危うさを感じざるを得ません。
円高・円安への評価は、人によって、時によって、変わるものだとしても、政府の最高責任者にとっては、最大限注意を払うべきテーマです。安全保障政策における台湾問題と同様に、経済問題における通貨価値や外貨準備の問題は、国家そのものに関わる、最も機微に触れるテーマだからです。
選挙期間中の失言や不用意な発言は、選挙が終われば、チャラになるかもしれませんが、高市総理のこうした状況認識は、選挙が終わっても、政権の経済運営に大きな影を落とすことになるでしょう。
播摩 卓士(BS-TBS「Bizスクエア」メインキャスター)