米連邦捜査局(FBI)が最近、ジョージア州の郡選挙センターを捜索した。トランプ政権は州から機微な有権者情報の提出を求める姿勢を強めており、連邦政府と州の対立が一段と激化する可能性がある。

司法省はデータ提出を拒否している24州と首都ワシントンを提訴。共和党のトランプ政権はまた、2020年の選挙に関連する記録を巡り、ジョージア州フルトン郡も訴えた。

民主党全国委員会(DNC)は、州側がデータを引き渡した場合、それが有権者の権利を侵害するなら、措置を取る可能性があるとしている。

これに対し、司法省の公民権部門トップは、DNCが不利益を被り得ると警告。11月の中間選挙を前に深刻な衝突が起きかねない状況となっている。

この問題は最終的に連邦最高裁に持ち込まれる可能性がある。米国憲法は、連邦議会選挙の時期と場所、方法を定める権限を州に認める一方、連邦議会がその規定を変更できるとしているためだ。

米政府関係者は選挙の公正性を確保しようとしていると説明するが、州側は要求が過度に広範で、投票に影響を及ぼしかねないと反発している。

司法省が求めているのは、有権者の氏名や住所にとどまらず、生年月日や運転免許証情報、社会保障番号の一部にまで及ぶ。

アリゾナ州のフォンテス州務長官はインタビューで、「データの引き渡しはしない。結果がどうなろうと構わない」と強調。「彼らが私のような公務員や民間人を刑務所に放り込む計画を立てていても、驚かない」と述べた。

FBIは1月28日、アトランタ近郊にあるジョージア州フルトン郡の選挙センターを捜索し、ジョー・バイデン氏が勝利した20年の大統領選挙に関する投票記録やその他のデータを押収した。

現大統領のドナルド・トランプ氏は20年大統領選の敗北に強く執着。選挙当局や裁判所のみならず、かつての側近の一部も数年前から否定している不正選挙だったとの根拠のない主張を繰り返している。

混乱の始まり

地方の当局者は、FBIによる今回の捜索が今後数カ月に起こり得ることの先触れで、全米各地でさらなる措置が講じられる可能性があると警戒している。

フルトン郡のコミッショナー、モー・アイボリー氏はFBIの捜索後、「これはあなたの身近な場所にもやって来る。これから起きようとしている26年の混乱の始まりだ」と記者団に語った。

司法省は、刑事捜査の一環として大陪審の召喚状に基づき選挙記録を差し押さえた。ブランシュ司法副長官は30日、フルトン郡での記録押収について問われ、トランプ政権の対応を擁護し、「選挙の公正性は、この政権にとって極めて重要だ」と記者団に伝えた。

法廷ではすでに闘いがスタート。連邦裁判官が判断を示し始め、カリフォルニア州とオレゴン州の州指導部に対する訴訟で、トランプ氏は敗訴を喫した。

クリントン政権時に指名されたデービッド・カーター連邦地裁判事はカリフォルニア州に対する連邦政府の訴えを退けた1月15日の判断で、「この情報を連邦政府が一元化すれば、有権者登録に萎縮効果をもたらし、有権者が自らの情報が不適切または違法な目的で使われることを恐れ、投票率の低下につながるのは避けられない」と結論付けた。

さらなるエスカレーションが目前に迫っている可能性もある。

DNCが連邦政府へのデータ共有で有権者の権利を侵害した場合、対応すると各州に書面で申し入れたことに対し、司法省のディロン公民権局長は、そうした動きは報復を招きかねないと反論。

「組織は、連邦捜査に介入し、司法妨害を助長する前に、よく考えるべきだ。さもなければ、連邦裁判所で教訓を学んでいる数十の州の仲間入りをしたいということだろう」とX(旧ツイッター)に投稿した。

DNCの訴訟担当ディレクター、ダン・フリーマン氏はブルームバーグへの声明で、DNCが「投票権を守るための闘いから決して退くことはなく、連邦裁判所で司法省と対峙(たいじ)することを楽しみにしている」とコメントした。

司法省は、ディロン氏への取材を認めなかった。

原題:Trump Quest for Voter Data Spurs Lawsuits, a Raid and Jail Risk(抜粋)

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