(ブルームバーグ):赤沢亮正経済産業相は、ホルムズ海峡を通らない代替ルートを利用した原油タンカーが28日に初めて日本へ到着する見込みを明らかにした。サウジアラビアの東西パイプラインやアラブ首長国連邦(UAE)のフジャイラ港を活用した出荷が進んでおり、原油の安定調達手段として期待が集まっている。
赤沢氏は24日の閣議後会見で、2社のタンカーが日本に向かっているが、社名については「公表できない」と述べた。28日に続いて4月5日にも到着する予定だ。さらに、中東以外の地域からの調達分として、4月25日にも別のタンカーが到着する見通しだという。
一方、政府は原油調達をめぐる海外との関係について、基本的には民間同士の取引を原則とし、政府が直接外国企業と交渉することは行わないとの立場を示した。国営石油会社のトップがエネルギー大臣を兼ねている場合などには、閣僚間の対話を通じて事実上の働きかけを行うケースもあるという。
ホルムズ海峡の外側に位置するフジャイラ港は、イラン戦争後原油と石油製品の物流拠点として重要性が高まっている。主要油田と結ぶパイプラインの終点で、アブダビ国営石油(ADNOC)の原油貯蔵施設があるほか、迅速な供給を必要とするトレーダー向けに7000万バレル以上の石油やその他燃料の貯蔵能力を備えている。
ブルームバーグがまとめた 船舶追跡データによると、24日時点でフジャイラ港発の船舶が日本に向かっていることがわかる。
フジャイラ港に加えて、代替ルートとして注目が集まるのが紅海沿岸のヤンブー港だ。サウジラビアは従来、原油の多くをペルシャ湾沿岸のラスタヌラ港から出荷してきた。ただ、ホルムズ海峡が事実上封鎖されてからは、東部の油田から西部のヤンブー港まで全長1200キロメートルのパイプラインで原油を送る量を増やしている。
戦前は日量140万バレル程度だった同港からの輸出量は、足元では超大型原油タンカー(VLCC)2隻分に相当する同400万バレル前後まで拡大している。
平時には、1日約1隻程度のペースで中東発のVLCCが日本に入港していたが、ホルムズ海峡の事実上封鎖により急減している。サウジアラビアは日本にとって第2位の原油供給国であり、国内の石油元売り各社にとっても扱い慣れた原油だ。ヤンブー港からの供給が増加すれば、日本にとっても一定の安心材料となる。

もっとも、先行きには不透明感もある。ヤンブー港は19日にイランの攻撃を受けた。加えて、イランが支援するイエメンのフーシ派武装勢力は、紅海とアデン湾を結ぶバブ・エル・マンデブ海峡を通航する船舶への攻撃再開を警告しており、状況はなお流動的だ。
石油連盟の木頭俊一会長(出光興産会長)は23日の会見で、日本の石油会社にはヤンブー港積み原油の購入実績があり、代替調達先の手段としては「有効な手段」との見方を示した。一方、バブ・エル・マンデブ海峡周辺を航行するリスクをどこまで許容するかについては各社の判断になると述べた。
日本総合研究所調査部の栂野裕貴研究員は、ヤンブー港の限られた輸出能力について「日本単独で大きなシェアを取れるわけではない」とし、韓国や台湾、中国やインドといった国々と分け合う争奪戦になるとの見方を示した。
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--取材協力:岡田雄至.もっと読むにはこちら bloomberg.com/jp
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