(ブルームバーグ):価格、投資対象としての妥当性、そして確信。ビットコインは、そのすべてを失いつつある。
世界最大の暗号資産(仮想通貨)ビットコインは、取引の薄い週末に7万6000ドルを割り込んだ。これは2025年に付けた最高値から約4割の下落を意味し、関税ショックとなった「解放の日」直後の水準まで逆戻りしたことになる。
昨年10月に始まった急落は、より根深い変質を遂げつつある。売りはパニックによるものではなく、買い手不在と勢いの喪失、そして市場への不信感が招いたものだ。
10月の下落時とは異なり、明確なきっかけや連鎖的な強制清算、システム上のショックは見られない。需要が減退し、流動性が低下し、広範な市場との相関を失っているだけだ。
ビットコインは地政学的リスクやドル安、あるいはリスクオンの相場上昇に反応していない。ここ数週間に金や銀相場が激しい値動きとなった時でさえ、暗号資産への資金移動は見られなかった。
ビットコインは今年1月に約11%下落し、月間で4カ月連続のマイナスを記録した。新規仮想通貨公開(ICO)ブームが崩壊した18年以来、最長の続落だ。
マーケットメーカー、ウィンセントのディレクター、ポール・ハワード氏は「26年中にビットコインが史上最高値を更新することはないだろう」と語る。

ビットコインはニューヨーク時間1日午前11時20分(日本時間2日午前1時20分)現在、7万7190ドル。
下落以上に目を引くのは、SNS上で楽観論が影を潜めていることだ。不屈の虚勢や「価格は上がる」といったミームで知られるこの分野で、応援の声や押し目買いをあおる動きはほとんど見られない。
こうした状況は、トランプ政権が暗号資産支持に方針を転換したことに伴う規制面の追い風のほか、機関投資家による投資急増にもかかわらず起きている。多くの投資家は、そうした期待感は既に市場に先取りされていたと指摘する。価格は先行して上昇したものの、その後は伸び悩んだ。
一方、現物の上場投資信託(ETF)からは資金流出が続いており、主流派の買い手の確信が揺らいでいることを示唆している。高値で購入した投資家の多くは含み損を抱えた状態だ。デジタル資産を財務資産として保有する大手機関投資家も、昨年の自社株バブル崩壊を受けて買いの手を緩めており、大口投資家の需要が減退している。
カイコのデータによると、大口取引を吸収する能力を示す市場深度は、10月のピーク時を30%強下回ったままだ。これほど流動性が低下したのは、22年の暗号資産交換業者FTX破綻以来のことだ。
過去のパターンを見ても安心材料は少ない。ビットコインは21年にピークを付けた後、回復するまでに2年4カ月を要した。17年のICOブーム後は、約3年かかった。それらの基準に照らせば、足元の低迷局面はまだ序盤の可能性もある。
カイコのアナリスト、ローレンス・フラウセン氏は「過去の取引高の減少を見ると、17年のピークから18-19年の冬の時代にかけて、現物の交換業者全体で60-70%の減少を記録した」と指摘する。
一方、21-23年の低迷局面での減少は30-40%と比較的緩やかだったという。

同氏によれば、本格的な回復局面までさらに6-9カ月を要する見通しで、調整と安値での買い増しが続く後半の過程でも、取引高の低調が続く見通しだ。
原題:Bitcoin Break Below $80,000 Signals New Crisis of Confidence (1)(抜粋)
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