(ブルームバーグ):30日の日本市場では円が下げ幅を拡大して対ドルで一時154円台まで売られた。次期連邦準備制度理事会(FRB)議長にケビン・ウォーシュ元FRB理事指名を準備していると伝えられた。債券相場は中長期債が上昇(金利は低下)し、株式は東証株価指数(TOPIX)が上昇した。
円は対ドルで一時0.7%近く値下がりした。トランプ米政権は次期FRB議長にウォーシュ元理事をトランプ大統領が指名する方向で準備を進めていると事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。ウォーシュ氏はタカ派的との見方からドルが買われている。物価の伸び悩みを受けて債券相場は上昇(金利は低下)。株式は銀行や自動車を中心にTOPIXが続伸。

SBI FXトレードの上田真理人取締役は「ウォーシュ氏はFRB在任中、どちらかと言えばタカ派で、バランスシート縮小にも熱心だったことでドル売りの材料にされている」と語った。同時にドルも「イランとの緊張の高まりや政府閉鎖のリスクなど売り材料も多く、どんどん上昇する感じはない」と述べた。
日本のインフレ懸念後退から金利が低下して円が売られやすくなっていたところに次期FRB議長人事の報道が円売りを加速させた。ドルは主要10通貨に対して全面高になっている。
為替
円相場は対ドルで一時154円付近に下落。ウォーシュ氏のFRB議長指名を巡る報道がドル買い材料視されている。
この報道を受け、米長期金利は時間外取引で前日終値比4ベーシスポイント高い4.27%まで上昇した。SMBC日興証券の田未来シニア金利ストラテジストは報道について「ウォーシュ氏は他の候補よりも利下げに消極的との受け止めだろう。円安・ドル高要因であり、日銀の利上げを後押しする材料になる」と話した。
三菱UFJモルガン・スタンレー証券の龍翔太為替ストラテジストは、ベッセント米財務長官が介入は「絶対にしていない」と明確に否定したことも円高一服に効いていると語った。その上で衆院選で「自民党が単独過半数を得れば高市トレードの再開で再び円安に向かう」と予想した。
龍氏は為替介入の可能性については、レートチェック観測が出た後にドルがユーロやポンドに対して下落したのは「米国にとって誤算で、米国が介入を行うハードルは上がった」と指摘。日本の単独介入であれば「効果は限定的との見方がコンセンサスだ」と述べた。
債券
債券相場は中長期債が上昇。朝方発表された1月の東京都区部の消費者物価指数(CPI)の伸びが予想を下回り、インフレ懸念の後退から買いが優勢だった。この日の2年利付国債入札は物価上昇率の鈍化が支援材料になり強めの結果だった。
みずほ証券の大森翔央輝チーフ・デスク・ストラテジストは、2年債入札は良好通過し、年限の短いゾーンに対する実需が依然として強いことが示されたと述べた。
SMBC日興の田氏も「2年債入札は強めの結果で、利回りの上昇に加え、東京都区部CPIの伸び鈍化が追い風になった」と語った。
新発国債利回り(午後3時時点)
株式
株式はTOPIXが上昇して、日経平均は下落。前日の決算で通期ガイダンスの引き上げや株主還元を発表した日立製作所や富士通、取引時間中に決算発表したHOYAなどが買われた。米サンディスクコーポレーションとの合弁会社の契約期間を延長したと発表したキオクシアホールディングスも急騰。為替の円安を受けて自動車株なども上げ幅を広げた。
半面、前日に大幅高となったアドバンテストで利益確定売りが膨らみ、日経平均を押し下げた。
しんきんアセットマネジメント投信の藤原直樹シニアファンドマネジャーは本格化する企業決算について、全体としては堅調でガイダンスの上方修正も多そうだとみている。その上で、市場の目線は来期で受注の伸びなどを示せるかどうかが「株価が持続的に上昇する銘柄とそうでない銘柄を分けそうだ」と話した。
この記事は一部にブルームバーグ・オートメーションを利用しています。
--取材協力:山中英典.もっと読むにはこちら bloomberg.com/jp
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