両立支援の定着とダイバーシティ経営の広がり
ここで、育児と仕事の両立支援に関して、政策の推移を振り返りたい。
育児休業については、1992年施行の育児休業法(現在の育児・介護休業法)によって、それまで男女雇用機会均等法で企業の努力義務とされていたものが、法的義務に強化された。
また、1995年施行の改正雇用保険法や改正年金関連法などで、育児休業給付金が導入されたり、育休中の厚生年金保険料が免除されたりし、経済的側面からも育休取得しやすくなった。
このように、法的、経済的には女性が育休取得する環境が用意されたものの、実際の職場では正社員には長時間労働や転勤に対応できることが当然とされ、家庭では妻の家事育児負担が大きかったため、女性たちは結婚・出産などを機に退職するライフコースが主流という時代が長く続いた。
約30年前には、既に共働き世帯数が専業主婦世帯数を上回ったものの、全体としては、女性の働き方は非正規雇用が多く、家計補助的な役割を担ってきた。
しかしその後、出生率の低下から、経済界に少子化に対する危機感が強まり、企業に対して行動計画の策定・実施を求めた次世代育成支援対策推進法が2005年に施行された。
育児休業法は介護に関する規定も含めて育児・介護休業法となり、度々改正されて、育休取得者に対する不利益取り扱いの禁止や、子を養育する従業員に対する深夜労働の制限、看護休暇の導入、短時間勤務やフレックスタイムの整備など、育児等と仕事の両立支援が拡充されてきた。
また2010年代からは、大企業を中心に「ダイバーシティ経営」が広がり、ワーク・ライフ・バランスが推進されてきた。
こうして、職場に育児と仕事を両立しやすい環境が実際に整ってきて、育児をしながら働き続ける女性たちが、現実に増えてきた。最初の育児休業法施行から、「出産しても正社員として働き続ける」というライフコースが40代前半でも多数派となるまでには、実に約30年を要した。
今後の見通し
今後、40歳代前半女性の正規雇用比率はより上昇していくだろう。第一子出産後に就業継続する女性の割合は、2015~2019年には一層、上昇しているからである。
2010年代半ばから国が働き方改革を推進し、男性の育児休業取得率も急上昇していることから、若い女性にとって、結婚・出産後も働き続けるハードルはさらに下がっていると言える。
また、若年層の意識を見ても、男女ともに、就業継続を希望する人が多数派となっている点も見逃せない。
内閣府の「男女共同参画白書 令和5年版」によると、18~34歳の未婚男女に対して結婚に関して希望のライフコースを尋ねたところ、2021年に初めて、男女いずれも、「両立コース」が「再就職コース」を抑えてトップとなったからである。
