今後の課題は男女間賃金格差解消や女性職比率の向上

近年、女性の雇用に関しては、結婚・出産期に就業率が低下する「M字カーブ」はほぼ解消したが、人口に占める正規雇用比率の割合が低下する「L字カーブ」が残された課題だとされてきた。

しかし、2024年に初めて、40歳代前半で正規雇用比率が雇用者の過半数になったことで、今後は、正社員の中でも、キャリアの質の向上により焦点が向けられるだろう。

何よりも急がれるのが、男女間賃金格差の解消である。これは、日本のジェンダーギャップ解消を妨げている大きな要因である。

厚生労働省の「令和6年賃金構造基本統計調査」より年齢階級別の男女間賃金格差を集計すると、正社員同士を比べても、40~44歳女性の平均賃金は、同年代の男性の平均賃金の78.3%に過ぎない。

若年層のうちは、賃金格差は小さいが、年齢階級が上昇するほど格差は広がっている。

同調査から集計すると、20歳代前半では99%でほぼ同じであり、20歳代後半でも95.1%だが、30歳代前半になると90%を下回り、40歳代前半では80%を下回る。50歳代では70%に近付いていく。

2022年7月からは、女性活躍推進法が改正され、301人以上企業は男女間賃金格差の公表が義務付けられるなど、政府も格差解消を推進している(2026年4月からは101人以上に拡大)。

2023年からは、上場企業の有価証券報告書でも男女間賃金格差に関する情報公表が義務付けられている。これらの政策によって、今後、実際に格差の縮小が進むかを注視していくべきであろう。

もう一つの大きな課題は、管理職比率の上昇である。女性では管理職が少ないことが、男女間賃金格差の大きな要因にもなっているからである。

厚生労働省の「令和6年賃金構造基本統計調査」より、無期雇用で働く常用労働者のうち、係長級を含む役職者の割合を集計すると、44~44歳では、男性は39.4%だが、女性は18.8%と差がある。

つまり、40歳代前半の男性では10人のうち4人が何らかの役職に就いているのに、同じく40歳代前半の女性では10人のうち2人という割合である。

現在でも、大企業を中心に女性登用が進んでいるが、幹部候補としての育成を若年層に限るのではなく、ミドル層にも実施していくことが重要ではないだろうか。

また、正規雇用比率に関しても、40歳代前半で雇用者の過半数になったとは言え、まだ非正規雇用の割合と大きな差がある訳ではなく、今後の推移にも注意する必要があるだろう。

終わりに

上述したように、日本では共働き世帯が専業主婦世帯を約30年前に逆転したにも関わらず、女性の雇用の中身を見ると、パートなどの非正規雇用が多く、家庭においては女性が家計補助役割であり続けてきた。

両立支援の充実、ダイバーシティ経営の広がり、働き方改革の導入といったことで、企業でも2010年代から結婚・出産退職が減ってきたが、それも主に若年層の変化であり、中高年女性は非正規雇用が主流という状況には変わりなかった。

それが2024年に入り、とうとう女性も40歳代前半まで正規雇用の方がメジャーになってきたという変化は、エポックメーキングである。

女性全体の正規雇用比率も50%に近付いており、いよいよ女性も正社員が多数派という時代を迎えようとしている。

とは言え、正社員であっても賃金水準は男性に比べて低く、特にミドル層ではまだまだ男女間格差も大きく、家庭において家計補助的役割を担っている点に変わりはない。

今後さらに、ミドル層でも女性の正規雇用比率が上昇し、より高い給料を稼ぐようになれば、女性個人の購買力が向上し、日本全体の個人消費にもプラスの影響を与える。

経済活性化のためにも、政府・企業は女性の雇用課題の解決に今後も力を入れるべきだろう。

※情報提供、記事執筆:ニッセイ基礎研究所 生活研究部 准主任研究員・ジェロントロジー推進室兼任 坊 美生子

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