消費税減税は「負担のあり方」として議論を
もちろん、食料品に対する消費税引き下げの議論の必要がないと言っているわけではありません。毎日の必需的な食料品を買うのに、消費税の負担を少しでも軽くしてほしい、という切実な声が現に高まっています。中低所得者を中心に食料品への8%の消費税は重すぎないか、という観点から、国民の負担のあり方として議論すべきテーマだと思います。
消費税率が20%を超えるヨーロッパでも、食料品はせいぜい4〜5%です。イギリスやカナダはゼロで、日本の8%は国際的にみても突出しています。消費税の逆進性の強さを考えると、低所得者に厳しすぎないかという問題提起に、政治は正面から向き合って欲しいものです。
一時的な物価高対策ではなく、税制改革の1つとして、食料品の8%が適切なのか、5%や3%に引き下げることも含め、財源とあわせ、冷静に議論を深めるべきです。逆進性緩和のための「給付付き税額控除」の制度設計を進めることも、解決策の一つになり得るものです。
所得が多いほど食料品への消費税も大きい
何かと悪者扱いされる消費税ですが、消費税には長所もあります。消費した段階でかかるので捕捉率が極めて高い税です。すべての人が同じ税率で支払うので、ある意味、公平です。
第一生命経済研究所の試算によれば、食料品に対する消費税は、標準世帯の平均で年間6.4万円です。しかし所得階層別に見ると、年収300万から350万円の層では、年3.9万円なのに対し、年収1500万円以上の層では、年8.2万円も納めています。所得が高ければ少量品でも消費額が大きくなるので、より多く消費税を納めているわけです。逆に言えば、ゼロにすれば、高所得者ほど減税額は大きくなるということです。
消費税率の変更が、国民の負担のあり方を議論するものである以上、財源も含めた「現実的」かつ「持続的」な案を、落ち着いた場でしっかり検討することが大切ではないでしょうか。