(ブルームバーグ):ニューヨーク時間23日の外国為替市場で、円が対ドルで急騰し、1日としては約6カ月ぶりの大幅上昇を記録した。日本当局が円安進行を食い止めるため、市場介入に踏み切る可能性が意識され、警戒感が強まった。
市場関係者によると、ニューヨーク連銀が主要銀行に対し、参考となる為替レートの提示を求めるレートチェックを実施。同連銀が市場介入を支援する準備を進めているのではないかと受け止められた。ニューヨーク連銀の担当者は、現時点でコメントを出していない。
円は一時、前日NY終値比で1.75%上昇し、1ドル=155円63銭と年初来高値を更新した。上昇率は昨年8月1日以来の大きさ。
マネックスの為替トレーダー、アンドリュー・ハズレット氏は「米連邦準備制度理事会(FRB)が午前11時ごろ、ドル・円市場でレートチェックを行ったと聞いている。これが円高・ドル安の動きを加速させた」と語った。

BMOキャピタル・マーケッツのマネジングディレクター、ビパン・ライ氏も、ニューヨーク連銀が円に関してレートチェックを行ったとの観測が円相場を押し上げたと指摘した。
「過去の例では、レートチェックが必ずしも介入が差し迫っていることを意味しない点にも留意することが重要だ」とライ氏。「ただ、ニューヨーク連銀がレートチェックを行っていたという事実は、仮にドル・円への介入が行われるとしても、単独介入にはならないことを示唆している」と述べた。
円は東京時間同日夕方に2円近く急伸した後は上げ幅を縮小し、小動きが続いていた。この日2回目の円急伸は、欧州市場が終了し、取引の主戦場が米国へ完全に移ったタイミングで起きた。
BNYのマクロ戦略責任者ボブ・サベージ氏は「前回の介入を思い起こさせる不気味な動きだ」と指摘。「金曜午後で流動性が乏しく、市場はこれに逆らいたくない」と述べた。
米国が打ち出す予測不能な政策が重しとなり、この日のニューヨーク市場ではドル指数が下落。円はそうした中で急伸した。
ブルームバーグ・ドル・スポット指数は0.7%余り下げ、昨年9月以来の安値を付けた。
クレディ・アグリコルのストラテジスト、ヴァレンティン・マリノフ氏は円相場について、「この日の値動きは、介入警戒感によって、円を調達資金とするキャリートレードへの意欲が損なわれたことを示唆しているようだ」と述べた。
株式
米株式市場では、S&P500種株価指数が小幅ながら3日続伸。来週は連邦公開市場委員会(FOMC)会合が開催されるほか、大手ハイテク企業の決算発表が始まる。過去2日間の大幅な上げを経て、この日は前日終値を挟んだ動きとなった。
この日発表された1月のミシガン大学消費者マインド指数(確報値)は市場予想を上回り、5カ月ぶりの高水準となった。しかし、S&P500種は週間ベースでは昨年6月以降で初めて、2週連続での下落となった。
個別銘柄ではエヌビディアが上昇。中国当局が国内大手テクノロジー企業に対し、エヌビディアのAI向け半導体「H200」の注文準備を進めてよいと伝えたことが分かった。
一方、インテルが一時18%安と急落。リップブー・タン最高経営責任者(CEO)が決算説明会で低調な見通しを示したほか、製造面での問題を明らかにしたことが嫌気された。
ナベリアー・アンド・アソシエーツのルイス・ナベリアー氏は「株式相場は値固めの局面にある」と指摘。「これまで出遅れていた銘柄が持ち直す一方、上昇してきた銘柄はやや調整している」と述べた。
今週の金融市場は、トランプ米大統領がグリーンランドを巡り、欧州の一部の国に関税措置を発動する意向を示したことを受けて動揺した。その後、トランプ氏は姿勢を和らげた。欧州連合(EU)はこれを受けて、向こう半年間で930億ユーロ(約17兆2800億円)相当の米国製品に報復関税を課す計画を棚上げにする。
レゾネート・ウェルス・パートナーズのアレクサンダー・ジュリアーノ氏は今週の市場について、「ワシントン発の政治ニュースにポートフォリオが振り回されず、重大ニュースを受けた下落局面では機動的に対応する重要性をあらためて認識させた」と述べた。

モルガン・スタンレーのウェルス・マネジメント部門で市場調査・戦略を統括するダニエル・スケリー氏は、ここ数週間、政治的な逆風が吹く中でも、米株式相場は依然として史上最高値に比較的近い水準で推移してきたと指摘。
「こうした不透明感が後退すれば、AIの継続的な導入がもたらす利点や、中間選挙を控えた規制緩和と市場寄りの政策といった、今年の主要テーマに対する前向きなセンチメントが再浮上する可能性がある」と述べた。
米国債
米国債相場は小幅に上昇(利回り低下)。為替市場で円相場が介入警戒などを背景に、対ドルでおよそ半年ぶりの大幅高となったが、米国債相場への影響は限定的だった。
インフレ圧力が続き、労働市場に安定化の兆しが見られる中、来週のFOMCでは政策金利据え置きが決まると広く予想されている。
原油
原油相場は反発。主要産油国であるイランに対する米国の軍事行動の可能性が意識されたほか、米国に到来している記録的な寒波で燃料や精製品の価格が上昇したことも材料視された。
前日に1バレル=60ドルを割り込んでいたウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)先物は、61ドル台を回復した。WTI先物は週間ベースでは5週連続の上昇。
トランプ米大統領は22日遅く、米海軍の艦隊が中東に向かっていると述べ、抗議デモへの暴力的な弾圧が続くイランの指導部に対して、再び軍事力を行使する構えを見せた。イランは日量約330万バレルの原油を生産している。
CIBCプライベート・ウェルス・グループのシニア・エネルギー・トレーダー、レベッカ・バビン氏は「地政学を巡る報道は後を絶たず、不確実性は極めて高いままだ」と指摘。「足元では、軍事面での動きや当局者の発言から、イランを巡る軍事行動への警戒感が再び強まっている」と述べた。

国際エネルギー機関(IEA)の最新の分析によると、今年の世界の原油在庫は日量370万バレル増加する見通し。米国では、全国規模の原油在庫が2週連続で増加した。
INGグループの商品戦略責任者ウォーレン・パターソン氏は「ドル安が原油相場の下支え要因になっている」と指摘。そのうえで「市場の地合いは依然として弱気だが、地政学リスクや供給リスクが相次いでいるため、価格下落のシナリオが具現化するまでには時間がかかっている」と述べた。
ニューヨーク商業取引所(NYMEX)のWTI先物3月限は、前日比1.71ドル(2.9%)高の1バレル=61.07ドルで終了。ロンドンICEの北海ブレント3月限は1.82ドル(2.8%)高の65.88ドル。
金
金相場は続伸。スポット価格は週間ベースでは約6年ぶりの大幅高となった。地政学リスクの高まりに加え、米連邦準備制度理事会(FRB)の独立性を巡る懸念が再燃し、相場を押し上げた。
JPモルガン・プライベート・バンクでアジアのマクロ戦略責任者を務めるユシュアン・タン氏は「第2次世界大戦後に築かれたルールに基づく国際秩序に亀裂が生じるなか、金は持続的な評価見直し局面に入っている」と指摘。「投資家は、定量化が難しい枠組み転換リスクに対する信頼できる防波堤として、金を一段と重視するようになっている」と述べた。

独コメルツ銀行のアナリストは23日のリポートで「安全資産を求める動きが、依然として最も重要な押し上げ要因だ」と指摘。そのうえで「グリーンランドを巡る問題が当面は沈静化したとみられるため、短期的に相場は一服する可能性がある」と述べた。
トランプ大統領が次期FRB議長に誰を指名するかにも注目が集まっている。トランプ氏は21日、候補者との面接を終了し、意中の人がいると語った。ハト派的な人選となれば年内の追加利下げ観測が強まりやすい。利子を生まない金にとっては、金利の低下は追い風となる。
金スポット相場はニューヨーク時間午後2時現在、32.66ドル(0.7%)高の1オンス=4968.68ドル。ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金先物2月限は前日比66.30ドル(1.4%)上昇の4979.70ドルで引けた。
原題:Yen Jumps Most Since August as Risk of Intervention Ramps Up
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